【8月15日 AFP】国連は14日、イスラエルとロシアに対し、両国の軍・治安部隊が紛争下の性暴力(CRSV)の容疑者としてリストアップされる可能性があると警告した。

国連のアントニオ・グテレス事務総長の年次報告書によると、両国は、ミャンマー軍、スーダン軍、パレスチナのイスラム組織ハマスなど、紛争下でレイプを含む性暴力を行っている容疑者のリストに追加される可能性がある。

報告書は「イスラエルの軍・治安部隊、ロシアの軍・治安部隊、および傘下の武装勢力による性暴力に関する重大な懸念」があると指摘。「これらの懸念は、主に拘禁施設で記録された違反行為に関連している」と付け加えた。

イスラエルについて、報告書は「信頼できる情報」として、軍と治安部隊が「性器への暴力、長時間にわたり強制的に裸にする行為、そして虐待的かつ屈辱的な方法で行われた度重なる衣服を脱がせての身体検査(ストリップサーチ)」などの一連の性暴力を行ったと主張している。

報告書は、ロシア側の公式収容施設50か所と非公式収容施設22か所で、ウクライナ人捕虜に対する違反行為が行われた「信頼できる」証拠があると述べている。

「違反行為の事例には、性器への電撃や殴打、火あぶり、強制的に裸にする行為、長時間裸でいさせる行為などが多数記録されており、これらは屈辱を与え、自白や情報を引き出すために用いられた」という。

2024年には、ウクライナの人権監視ミッションが、レイプを含む紛争下の性暴力209件を記録した。

報告書によると、イスラエルは紛争下の性暴力問題に関する国連特別代表に協力しているが、ロシアは協力していない。

だが、イスラエルは査察団の立ち入りを拒否し、性暴力のパターンや傾向を把握する試みを阻害しているという。

イスラエルは報告書の内容を否定し、グテレス事務総長が報告書に添付した書簡を「異常」だと批判した。

イスラエルのダニー・ダノン国連大使は、「国連はハマスによる衝撃的な戦争犯罪と性暴力、そして全ての人質の解放に焦点を当てなければならない」と主張。

「イスラエルは自国民を保護するのをちゅうちょすることはない。国際法に従って行動し続ける」と続けた。

AFPはロシアの国連代表部にもコメントを求めたが、回答は得られなかった。(c)AFP