■強要される自白

「人質司法」は、日産のカルロス・ゴーン元会長の数か月にわたる勾留で注目を集め、国際的な人権団体からの非難が相次いでいる。

原告の弁護団が問題視しているのは、罪証隠滅を疑う明確な説明をすることなく、保釈を却下する裁判官の対応だ。

日本では、起訴前の勾留は最大23日間。複数回の再逮捕によっては更に延長される。

「身柄を拘束して、自白を取るための取り調べを延々とやっている。ほとんどの人は何らかの形で罪を認める。そうすると法廷でそれが自分に不利益な証拠になる」と高野弁護士はいう。

起訴後に初めて保釈が可能となるが、天野被告の場合のように、罪状を否認すると保釈はしばしば却下されるという。

「日本では否認をする、あるいは黙秘をするということは、罪証隠滅の恐れが高いと考えられてしまっている」と甲南大学の笹倉香奈教授(刑事法学)はいう。

さらに被疑者は通常、弁護士が同席することなく取り調べを受ける。これに加えて過酷な拘禁が、自白依存につながっていると笹倉氏は指摘する。

「取り調べを密室化して、外部から切り離すことで、供述をより取りやすくする構造だ」と笹倉氏は語った。

■「公平かつ適正に対処」法務省

法務省はAFPの取材に対し、「否認と黙秘していることのみを理由として、長期間身柄を拘束するということはない」と述べた。

日本の刑事司法制度は、身柄拘束により自白を強要するものではないとし、「法と証拠に基づいて公平かつ適正に対処するよう努めてきたもので、今後も引き続き同様に対処する」と回答した。

しかし、かつて逮捕・起訴されたことのある浅沼智也氏(36)は、その圧力に屈しそうになったと振り返る。

トランスジェンダー活動家である浅沼氏は昨年、暴行罪で起訴され、ほぼ4か月間の勾留を経てようやく保釈された。その後、今年1月に無罪判決を言い渡された。 

「取り調べの刑事から『早く自白をすれば何回も取り調べする必要がない』と言われた」という。

「認めたら許されるんじゃないか、ここから逃れられるんじゃないか、という気持ちになった」といい、「虚偽でも自白をした方がいいのではと思うことも何回かあった」と語る。