【8月8日 CNS】就学前教育は、家庭にとって身近で切実な関心事だ。

今年の政府活動報告では「就学前教育の無償化を段階的に進める」との方針が示され、大きな注目を集めた。これを受け、7月25日の国務院常務会議では、段階的な無償化を推進するための具体策が打ち出された。会議は、就学前教育の無償化が国民生活に直結し、長期的な発展にも関わる重要な施策であることを明確に示した。

教育部の統計によると、2024年の全国の幼稚園は25万3300園で、そのうち22万1000園が公費補助を受けた低料金の幼稚園なり、全体の87.26%を占める。在園児数は3583万9900人で、就学前教育の入園率は92.00%だった。

政策面でも、近年は「就学前教育の無償化」を模索する方針が繰り返し示されてきた。2024年11月に成立した「就学前教育法」では、条件の整った地域から段階的に無償化を進め、家庭の教育負担を軽減すると明記。2025年1月に中共中央と国務院が発表した「教育強国建設計画綱要(2024-2035年)」でも、無償教育の範囲を段階的に拡大する方針が打ち出されている。

今回の会議では、各地域が早急に実施計画を細かく策定し、財政負担の分担割合に応じて補助金を手当てし、期限内に全額を確実に交付するよう求められた。無償化を安定的に運営するには、明確な財政責任と持続可能な資金体制の確立が欠かせない。

近年、条件の整った経済先進地域では、就学前教育の普及と低負担化が進みつつある。例えば浙江省(Zhejiang)湖州市(Huzhou)では、民間の普及型幼稚園に対して特別予算を毎年計上し、公立園とほぼ同等の料金に設定。普及率は97%を超えている。

重要なのは「無償化=質の低下」ではないことだ。会議では、学齢人口や財政力を踏まえて制度設計を行い、基本的なサービスと普及型教育を守ることを原則としたうえで、投資制度の改善、施設整備、教員待遇の向上を進め、運営の質を高める方針が示された。これは、無理のない財政運営と教育の質の確保を両立させるための取り組みでもある。

教育部と財政部は2023年に、各地の公立園における児童1人あたり年間公用経費は原則として2024年までに600元(約1万2259円)以上とする基準を提示した。教員の待遇改善は質の向上に直結する。安定した収入と職業上の誇りがあってこそ、優秀な人材が就学前教育に定着する。2024年には、公立幼稚園教員の給与を財政保障の対象に含め、小中学校教員と同等の職務・昇格待遇を受けられるようにする方針も示された。

さらに、近年一部の幼稚園で発生した安全問題は社会の関心を集めてきた。今回の会議でも、監督体制の強化、園運営の適正化、園児の心身の安全確保が改めて強調された。幼稚園の安全は最優先であり、各級政府が厳格な監督と実効性ある対策を徹底する必要がある。

段階的な無償就学前教育の推進は、就学前教育の普及と負担軽減を進めるだけでなく、質の高い教育と暮らしの安心に向けた確かな一歩となる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News