【三里河中国経済観察】中国飲料ブランド、世界で新たなブームを巻き起こす
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【8月10日 CNS】「スターバックス(Starbucks)は気をつけた方がいい」
米国の記者が瑞幸珈琲(ラッキンコーヒー、Luckin coffee)を試飲した率直な感想だ。
6月末、ラッキンコーヒーはニューヨークに2店舗をオープンした。多くの米国人にとって初めて耳にする中国ブランドだったが、オリジナルのコールドブリューは絶賛され、アイスココナッツラテも「スターバックスに匹敵する」と評価された。さらに、米国での価格は3.45〜7.95ドル(約508~1171円)とスターバックスより割安で、新規利用者はアプリのダウンロードで割引も受けられるため、コストパフォーマンスが際立つ。
中国市場で急成長したこのブランドは、いまや海外に打って出て、成熟したコーヒー市場に挑戦している。
実際、海外進出を加速させているのは瑞幸コーヒーだけではない。
蜜雪氷城(Mixue)は12か国で5000店舗以上を展開。2024年第1四半期には、霸王茶姫(CHAGEE)が海外に13店舗を新規オープンした。茶百道(ChaPanda)は韓国と欧州市場に進出し、庫迪珈琲(Cotti Coffee)や喜茶(HEYTEA)も北米での展開を進めている。
海外のSNSでは、中国発の飲料が若者の「試してシェアしたい」新たなトレンドになり、購入だけでなく「打卡(Daka=チェックイン)」体験としても人気を集めている。
なぜ中国飲料ブランドは海外で存在感を高められるのか。
第一に、デジタル運営力とサプライチェーン効率が強みだ。
ラッキンコーヒーは中国で磨いた運営モデルを海外にそのまま展開している。セルフ注文、非接触受け取り、現地決済への対応といったデジタル化により、現地での試行錯誤コストを大幅に削減。さらに、グローバルに広がるサプライチェーンによって品質維持とコスト管理も可能になっている。
第二に、現地対応の柔軟さである。
蜜雪氷城はベトナムでイートインスペースを増やし、パイナップルレモングラスなどの現地向けフレーバーを導入。カザフスタンでは試験営業中、人気商品を押し付けず、現地消費者に投票で「看板商品」を選ばせた。ブランドは市場教育にこだわらず、親しみやすい味で受け入れやすくし、徐々にブランド認知を高めている。
第三に、手に取りやすい価格が魅力だ。
海外では、蜜雪氷城は1ドル(約147円)前後の低価格で市場を開拓。ラッキンコーヒーは初期に1.99ドル(約293円)のキャンペーンとSNS広告を組み合わせ、短期間でファンを獲得した。「新鮮で手頃」が、初めて中国飲料を試す理由になっている。
さらに、こうしたブランドは飲料だけでなく、文化やライフスタイルを通して消費者に新たな体験型の社交空間を提供している。
霸王茶姫はパッケージや文化イベントで中国茶の物語を発信し、「東方茶文化」のイメージを強化。喜茶は「中国風の店舗とSNS映え」を武器に、ロンドンなどでも行列を生んでいる。世界の若者にとって、中国飲料を楽しむことは中国文化とつながるライトな方法になりつつある。
もちろん、海外展開が常に順調とは限らない。現地の競合、文化的な壁、各国の規制など、どの新市場も戦略的な準備と長期的な努力を必要とする。
それでも、中国の飲料ブランドは模倣者の段階を超え、海外市場で存在感を高める挑戦者となっている。将来的には、新たな業界基準に影響を与える可能性もある。
タイ・バンコクの駅前、オーストラリア・シドニーの大学街、シンガポールのビジネス街では、中国発のミルクティーやコーヒーが身近な選択肢として受け入れられ始めている。国境を越えて広がるこうした飲料は、世界の消費者に新しい味覚体験をもたらしている。
外交部の毛寧(Mao Ning)報道官は「中国ブランドは技術力、文化的背景、デザインの独自性、国際的に通じる情緒価値を強みに、海外消費者の支持を広げている。中国ブランドの世界進出は、世界の消費者により多様な選択肢を提供している」と語った。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News