【三里河中国経済観察】「蘇超」では苦戦も、常州の対外貿易は堅調
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【8月7日 CNS】中国・江蘇省(Jiangsu)のサッカーリーグ「蘇超」のピッチでは、常州市(Changzhou)にまつわる話題が尽きない。
サッカーの不振を受け、ネット上では「常州」の名前を縮めて「吊州」、最後は「州」だけにするというジョークまで飛び交った。こうした成績を受け、常州市委員会は6月29日、高品質なサッカー発展を目指す3年間の行動計画を議論した。
サッカーの成績は振るわない常州だが、経済面では確かな強さを見せている。
市の公式発表によると、今年1~5月の常州の対外貿易輸出入総額は1473億2000万元(約3兆101億円)で、前年同期比13.7%増となり、蘇南地域で伸び率トップとなった。
このうち民営企業の貢献は大きく、輸出入は927億1000万元(約1兆8943億円)で前年同期比22.6%増。市全体を9ポイント上回る伸び率で、対外貿易の原動力となった。
サッカーで最下位の常州だが、対外貿易の首位は経済力の証しである。
常州の対外貿易が伸びる背景には、厚みのある産業基盤がある。
新エネルギー車産業を例にすると、深セン市(Shenzhen)や上海市、合肥市(Hefei)、武漢市(Wuhan)のように話題性は高くないが、国内でも有数の競争力ある産業チェーンが形成されている。
2023年、常州の新エネルギー産業の生産額は7681億元(約15兆6945億円)に達し、市の規模以上工業の約半分を占めた。2024年には8500億元(約17兆3679億円)を突破し、完成車の生産台数は約80万台に達するなど、いずれも過去最高を更新した。
電池分野では、2015年に金壇区が大型投資で中創新航科技(CALB)を誘致。その後の再編・改造を経て、国内大手に成長した。2024年には常州が工業情報化部から「中国新エネルギーの都」の称号を授与され、輸出の基盤が固まった。
比亜迪汽車(BYD)常州基地では、2024年第1四半期に新エネルギー車の累計生産台数が7万8000台となり、前年比80%超の増加。海外販売は60億元(約1225億9740万円)を超え、前年同期比で236%増となった。
対外貿易の急成長は、新エネルギー車や部品の輸出だけではない。多角的な海外市場開拓が、常州の強さを支えている。
常州市商務部の統計によると、今年1~5月の越境EC輸出入は128億4000万元(約2623億5843万円)で、前年同期比46.7%増。外貿に占める比率も8.7%に上昇した。
背景には企業の積極的な海外展開と、市が推進する「越境EC+産業ベルト+海外倉庫」モデルがある。2024年4月時点で、常州企業の海外倉庫は米国、フランス、ドイツ、ベトナム、アラブ首長国連邦(UAE)など十数か国に広がり、総面積は60万8000平方メートルに達する。
この海外倉庫網は、物流時間を大幅に短縮し、現地在庫管理で市場変化への即応性を高め、物流コストを抑えることで、国際競争の中で「近距離優位」を築いている。
常州の対外貿易を支える最大の力は民営経済だ。2024年、民営経済の付加価値はGDP比69.8%に達し、経済成長への寄与率は61.1%となった。
サッカーの勝敗は、この都市の経済的な存在感を隠せない。
常州は2023年にGDPが1兆元(約20兆4329億円)を突破したが、同規模の都市の中では常住人口が最も少ない。
ネットの冗談がまだスコアボードにとどまる間に、常州の経済エンジンは海外に向けて力強く動き出し、確かな成果を示している。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News