【三里河中国経済観察】「蘇超」が動かす街と経済 小さな店も輝く江蘇の力
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【8月14日 CNS】今季の雨の中で行われた江蘇省(Jiangsu)サッカーリーグ「蘇超」の一戦は、常州市(Changzhou)が惜しくも南京市(Nanjing)に敗れた。しかし、カメラがピッチ脇の広告板を映した瞬間、思わぬ注目を集めたのは、京東(JD.com)や江蘇銀行(Bank of Jiangsu)などの有名企業と並んで表示された「東哈・東北屋台焼き串」という小さな個人経営の焼き鳥店だった。
今回の試合で設置された22枚の内側広告板「Aボード」のうち、18スポンサーのうち13社は民営企業。そして「東哈・東北屋台焼き串」は唯一の個人事業主であり、さらに2枚のAボードを確保した唯一のスポンサーでもあった。
これまで、高額なスポンサー料が必要なスポーツイベントは、大企業や有名ブランドが中心で、中小企業や個人店は手が届かなかった。だが「蘇超」はこの慣例を破った。
常州市体育局がスポンサー募集を告知すると、地元の小さな焼き鳥店が応募。大会運営側は「出自は問わず、条件を満たせば平等に扱う」という方針で審査し、結果としてスポンサー入りが実現した。
こうして、「東哈・東北屋台焼き串」をはじめ、「何小雷の煮込み」「園外園の湯円」「銀絲麺館」といった、生活感あふれる店の名がスポンサー一覧に並んだ。現在は「蘇超」のシーズンスポンサー資格料が300万元(約6263万4000円)に上がっているが、運営側は初期スポンサーを大切にし、契約を守り、小規模事業者を軽んじることはなかった。この対応はネット上でも称賛を集めた。
常州だけでなく、他会場でも地域に根差したスポンサーが活躍している。徐州市(Xuzhou)の「汴塘煎餅」や江陰市(Jiangyin)の「惠友整形外科病院」など、地元色の強い企業が次々に名を連ねる。この光景は、江蘇のビジネス環境を象徴している。大企業だけでなく中小企業も等しく受け入れ、丁寧に支援する姿勢が見えるからだ。
経済大省の江蘇は、「より良いビジネス環境」を追求し続けてきた。5年連続で「ビジネス環境が最も良い省」に選ばれ、「非対面審査」「ホットライン百科」「標準地+信用地+カスタム地」などの制度改革も高く評価されている。
こうした土壌は、活発な民営経済を育んだ。2024年、江蘇省の登録事業体は1463万2000件に達し、民営経済の付加価値は2018年の5.1兆元(約106兆4778億円)から7.98兆元(約164兆7274億円)に増加。GDPに占める割合は58.2%まで上昇した。民間投資の伸びは全国トップで、民営企業の輸出額は省全体の50.6%を占める。
小さな流れをも受け入れる包容力がある土地には、人も企業も集まる。焼き鳥店が「蘇超」で話題になったのは、江蘇の寛容さと、制度改革で数千万の事業者を活性化させる力を象徴している。
「蘇超」の経済効果は、都市と地元商店の相互作用にとどまらない。観客動員は毎試合で新記録を更新し、スポンサーも増え、チケット、飲食、宿泊は爆発的に伸びた。省内サッカーリーグは、まさに全市民の祭りとなり、江蘇の「スポーツ×消費」全体の成長を後押ししている。
リーグは7か月にわたり続き、その経済波及効果は今後さらに拡大するとみられる。江蘇省体育産業集団の試算では、シーズン全体で3億元超の総合経済効果を生み、都市ごとに平均2000万元(約4億1756億円)以上の収益増をもたらし、文化・観光・スポーツ・商業の融合発展を後押しする。
試合に勝ち負けはつきものだ。しかし、この地で街角の焼き鳥店と巨大企業が同じ広告板に名を連ねる光景こそ、江蘇のビジネス環境という「金字の看板」を示すものだ。経済の奥行きという次元では、「蘇大強」江蘇はすでに鮮やかな勝利を収めている。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News