【8月5日 AFP】ギリシャで3日、反ユダヤ主義の落書きをめぐり、イスラエルのノアム・カッツ駐ギリシャ大使と首都アテネのハリス・ドゥ―カス市長が対立した。

カッツ大使は3月付の日刊紙カティメリニに掲載されたコメントで、ドゥーカス市長が反ユダヤ主義の落書きをする「組織化された少数派」に対して行動を起こしていないため、イスラエル人観光客はアテネで「居心地の悪さ」を感じていると述べた。

中道左派「全ギリシャ社会主義運動・変革運動(PASOK-KINAL)」所属のドゥーカス市長は数時間以内にX(旧ツイッター)で、「われわれは暴力と人種差別に強く反対する姿勢を示してきた。民間人殺し(イスラエル人)に民主主義を説かれる筋合いはない」と反論。

「民主主義国家の首都アテネは、訪問客を全面的に尊重し、市民の表現の自由の権利を支持している」「(パレスチナ自治区)ガザ地区で前例のないジェノサイド(集団殺害)が行われているにもかかわらず、(カッツ)大使が(明らかに消されている)落書きに全集中しているのは不快極まりない」と付け加えた。

ギリシャをはじめとする欧州諸国では、左派主導の親パレスチナデモが数多く行われている。イスラエル人観光客を乗せてギリシャの島々をめぐるクルーズ船も、複数の港でこうしたデモに迎えられた。

ギリシャはかつて数十年にわたり親アラブ政策をとっていたが、2010年以降は安全保障とエネルギー分野を中心にイスラエルとの結び付きを強化してきた。

2023年10月にガザ紛争が始まって以来、ギリシャを訪れ、同国の不動産市場への投資を始めるイスラエル人が増えている。

ドゥーカス市長によると、不動産を購入することでギリシャの在留許可を取得したイスラエル人の数は昨年、90%増加した。(c)AFP