【三里河中国経済観察】1兆元都市、新型研究型大学で競争力強化
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【8月6日 CNS】良質な大学は、古くから都市間競争の重要な要素だ。
しかし、経済力は十分でも、ネット上で「大学不毛の都市」と揶揄される街もある。
たとえば広東省(Guangdong)東莞市(Dongguan)、仏山市(Foshan)、江蘇省(Jiangsu)南通市(Nantong)、浙江省(Zhejiang)寧波市(Ningbo)は、すでにGDPが1兆元(約20兆8780億円)を超え、工業生産額も全国上位にあるが、学士課程を持つ大学はごく少数で、トップクラスの大学はほとんど存在しない。
近年、こうした都市は高等教育の弱点克服に動き始めた。
先ごろ教育部の公式サイトが発表した「学士課程大学設置予定校」には、大湾区大学(Great Bay University)や寧波東方理工大学(Eastern Institute of Technology, Ningbo)など10校が新たに名を連ねた。
これにより、東莞市と寧波市はいずれも新しい学士課程大学を迎え、長年の高等教育資源の空白を埋めるとともに、都市の総合競争力向上に向けた大きな一歩を踏み出したことになる。
長い間、寧波や東莞は経済規模に比べ大学が少なく、「大学不足」が課題だった。ネット上では「杭州市(Hangzhou)には浙江大学(Zhejiang University)があるけど、東莞は?」といった声もある。
■大学数も学生数も少ない現状
2024年6月時点で、中国の普通高等学校は2868校。このうちGDP1兆元都市27市にある大学は1111校で、全体の約39%を占める。しかし、分布には偏りがある。
広東省の1兆元都市4市では、広州市(Guangzhou)に84校あるのに対し、深セン市(Shenzhen)は10校、東莞市は7校、仏山市は6校しかない。
浙江省では、杭州に47校あるのに対し、寧波は14校にとどまる。長江デルタ地域で比較しても、寧波は省内の杭州はもちろん、南京市(Nanjing)は52校、合肥市(Hefei)は55校、蘇州市(Suzhou)は25校と、主要都市にも大きく後れを取っている。
在校大学生の人口比でも、東莞や寧波は見劣りする。
2024年のデータでは、広州の在校大学生は168万人で全国トップ。河南省(Henan)鄭州市(Zhengzhou)、湖北省(Hubei)武漢市(Wuhan)、四川省(Sichuan)成都市(Chengdu)、重慶市(Chongqing)、北京市、南京市、西安市(Xi'an)も100万人を超える。
一方、東莞の在校大学生は17.01万人で、常住人口1057万人に対する比率は約1.6%にすぎず、主要都市の平均を下回る。参考までに南京は10%を超えている。
寧波も同様で、在校大学生は25.5万人。常住人口977.7万人、経済規模1.8兆元(約37兆5804億円)に比べて高等教育の規模は不釣り合いだ。
■産業高度化に追いつかない教育資源
この不均衡は産業ニーズを前にするとより鮮明だ。
寧波は、7年連続で「特定分野で国内トップの中核製造業企業」数が全国1位で、初めて100社を超えた都市だが、産業の高度化を支える高水準の研究拠点や有力な理工系大学は長く不足していた。
地元関係者も「寧波は大学の強みや特色ある学科が弱く、スマート製造、新素材といった重点・新興産業や、医療など生活に直結する分野の学科強化が急務だ」と認めている。
こうした課題に対し、東莞や寧波にとっては、新大学の設立や有力大学の分校誘致が、現実的で効果の早い解決策となる。
■新型研究型大学が担う役割
大湾区大学は、広東省政府が設置し、東莞市政府が資金面で支える公立の高水準研究型大学だ。
寧波東方理工大学は、社会資本が運営し、国家の重点支援を受け、省市が共同で建設する、小規模精鋭・研究重視・国際化志向の新型研究型大学である。
両大学はいずれも、都市に長年不足してきた「研究型高等教育資源」を補う狙いがある。柔軟な学科編成や、企業と連携した実験室や定向教育などの産学連携、国際的人材の導入を通じて、産業高度化に即応できる「需要主導―イノベーション供給―人材支援」の循環を形成する。
優れた大学は、先端技術の研究開発と社会実装を促すだけでなく、優秀な人材を呼び込み、都市に持続的な活力をもたらす。
人口ボーナスから人材ボーナスへの転換期にある現在、先進都市が高等教育資源を戦略的に整備することは、都市競争の「次のステージ」に備える強固な防波堤となるだろう。
もっとも、新設大学の審査が厳格化するなか、経済力はあっても高等教育が手薄な他の都市が、東莞や寧波のように追い上げられるかは、今後の注目点となる。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News