【8月1日 AFP】南米で野生のトマトとジャガイモに似た植物が交雑した結果、約900万年前に現代のジャガイモが誕生したという研究結果が7月31日、科学学術雑誌セルに発表された。

手頃な価格で用途が広く実用的なジャガイモは今や、世界で最も重要な作物の一つとなっている。しかし、その起源は長い間、科学者を悩ませてきた。

現代のジャガイモは、チリ原産のエツべローサム(Etuberosum)と呼ばれる3種の植物によく似ている。だが、これらの植物は塊茎(かいけい、ジャガイモやヤムイモに見られるような、栄養素を蓄え、私たちが食べる部分)を形成しない。

一方、遺伝子解析により、トマトとの驚くべき近縁性が明らかになった。

この謎を解明するため、国際的な研究チームが栽培ジャガイモと野生ジャガイモ56種の450のゲノムを解析した。

分析の結果、現代のジャガイモは二つの祖先種からバランスの取れた遺伝的遺産を受け継いでいることが明らかになった。内訳は、約60%がエツベローサム、40%がトマトだ。

塊茎形成のシグナルとなるSP6A遺伝子はトマト系統に由来するが、地下茎の成長を制御するエツベローサム由来のIT1遺伝子と組み合わさることで初めて塊茎形成が可能になる。

エツベローサムとトマトの分岐は、おそらく昆虫によるオフターゲット受粉が原因で1400万年前に始まり、900万年前に完了したと考えられている。

この出来事はアンデス山脈の急速な隆起と重なり、地下に栄養分を蓄えることができる塊茎植物の出現に理想的な条件が整った。

塊茎のもう一つの重要な特徴は、無性生殖能力だ。種子や受粉を必要とせずに新しい芽を出すことができるため、南米全域に広がり、後に人類の交流を通じて世界中に広がった。(c)AFP