【8月11日 CNS】中国・陝西省(Shaanxi)の西安市(Xi'an)と延安市(Yanan)を結ぶ高速鉄道「西延高速鉄道(西延高鉄)」が全線でレール敷設を完了し、正式開業に向けた準備が進んでいる。これにより、陝北(せんほく)地域で初めて高速鉄道が整備されることになる。

路線の全長は約299.8キロで、設計最高速度は時速350キロ。開通後は、西安と延安間の所要時間が現在の約2時間半から1時間前後に短縮される見込みだ。

西延高鉄は、中国の国家高速鉄道網のうち、内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)包頭市(Baotou)から寧夏回族自治区(Ningxia Hui Autonomous Region)銀川市(Yinchuan)、海南省(Hainan)海口市(Haikou)に至る「包(銀)海高速鉄道」ルートの一部を構成する。また、西安市と重慶市(Chongqing)を結ぶ「西渝高鉄」と合わせて南北の交通大動脈となり、陝西省の「米字型高速鉄道ネットワーク」の主要骨格を形成する。

沿線は黄土高原の複雑な地形に位置し、全線の約91%が橋梁とトンネルで構成される。施工中は、最大勾配は千分の30の急勾配区間や、長大トンネルの連続など、高い施工精度と短い工期が求められた。

西延高鉄は単なる交通インフラにとどまらず、西部大開発の推進や地方振興に資するうえ、中国全土を南北8本、東西8本で結ぶ「八縦八横」高速鉄道網の西北地域の整備においても重要な役割を果たす。とくに延安と周辺都市を高速鉄道で結ぶことで、人材や物流、観光などの交流がさらに活発になると期待される。

公開情報によると、沿線には西安市、渭南市(Weinan)、銅川市(Tongchuan)、延安市を含む11駅が設置される予定。今後は、延安市と榆林市(Yulin)を結ぶ「延榆高鉄」も2027年末の完成を目指して建設が進んでおり、西安・延安・榆林を結ぶ南北の高速交通回廊が形成される見込みだ。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News