上海で初の航空前置貨物ステーションが試験運用を開始
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【9月2日 東方新報】上海市で初となる航空前置貨物ステーション「松江総合保税区航空前置貨物ステーション」が、7月28日に試験運用を開始した。
当日、約1万6000米ドル(約237万2640円)相当、総重量1.4トンの越境EC貨物が、上海税関松江税関の一貫管理のもとで無事に通関手続きを終え、松江総合保税区から上海浦東国際空港(Shanghai Pudong International Airport)へ輸送され、航空便に積載された。
この「航空前置貨物ステーション」とは、本来は空港で行う通関・保安検査・仕分け・パレット化といった作業を、空港の外にある保税区や物流拠点で事前に行う仕組みを指す。これにより、貨物は空港到着後すぐに積み込み可能となり、通関時間の短縮や物流コスト削減につながる。松江の施設では、越境EC貨物や保税貨物、一般貨物をまとめて「ワンストップ」で空港に直送できる。試算によれば、従来型に比べて通関効率は約30%向上し、物流コストは約15%削減できるという。
同施設は、上海空港集団(Shanghai Airport Authority)、中国東方航空(China Eastern Airline)の東方航空物流、松江総合保税区が共同で開発したもので、総面積は2万2700平方メートル、まずは6000平方メートルを使用して稼働を開始した。館内には越境EC貨物用と一般貨物用の空輸作業エリアが設けられ、倉庫管理から通関、パレット化、予約・保税処理までの一連の作業を一体的に行える。長江デルタ地域(上海、江蘇省<Jiangsu>、浙江省<Zhejiang>)全体の国際物流効率向上に貢献する狙いだ。
上海税関は、この前置貨物ステーションの運営を支えるために専任チームを設置し、最適化された監督・管理の仕組みを整えた。試験運用前には、松江税関と運営企業が連携し、約2万件の越境EC輸出データテストを実施。また、浦東国際空港税関と共同で3800件以上の実貨物テストも行い、衣料品・玩具・電子機器など多様な貨物を米国、日本、英国、シンガポールなどに向けて試験輸送した。
上海税関の担当者は、今後も監督・作業フローのデジタル統合や部門横断的な連携を進め、空港通関と保税区通関の一体運用をさらに強化していくと説明。前置貨物ステーションを、地域間で「港と保税区が連動する」モデルケースに育てたいとしている。(c)東方新報/AFPBB News