【7月24日 AFP】イスラエル国会は23日、政府に対しパレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区の併合を求める動議を可決した。ただし、この動きは象徴的なものにすぎず、パレスチナ自治区の法的地位に影響を与えない。

この法的拘束力のない動議は、ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いる右派連合の議員と一部の野党議員の支持を得て、36議員が欠席する中、賛成71、反対13で可決された。

賛成派は、ヨルダン川西岸の併合は「イスラエル国家とその安全保障を強化し、祖国における平和と安全というユダヤ人の基本的権利に疑問を呈されることを防ぐものだ」と述べた。

「ユダヤ・サマリア(イスラエルが1967年以降占領しているヨルダン川西岸の一部地域を指す呼称)における主権」は、「シオニズムの実現とユダヤ人の国家構想の不可欠な要素である」と動議には記されている。

これに対しパレスチナ自治政府(PA)のマフセイン・アル・シェイク副議長はX(旧ツイッター)への投稿で、動議は「パレスチナ国民の権利に対する直接的な攻撃」であり、「平和、安定、そして(イスラエルとパレスチナが平和的に共存する)2国家解決の見通しを損なう」と批判。

「イスラエルによるこうした一方的な措置は、国際法、そしてヨルダン川西岸を含むパレスチナ自治区の地位に関する現行の国際的コンセンサスを露骨に侵害するものだ」と続けた。

ヨルダン川西岸では、パレスチナ人約300万人が暮らす一方、国際法違反とみなされ、国連にたびたび非難されてている入植地に約50万人のイスラエル人も居住している。

入植地は武力衝突の継続と並び、パレスチナ国家の樹立による恒久的な和平合意の実現を阻む主要な障害の一つと見なされている。(c)AFP