壁にテープで張られた数億円のバナナ、来館者に食べられる 仏
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【7月19日 AFP】フランスの美術館で先週、壁に新鮮なバナナをテープで張り付けたインスタレーション作品(数億円相当)が入館者に食べられた。展示関係者が18日、明らかにした。
この「コメディアン」と題された挑発的な作品は昨年、米ニューヨークで競売にかけられ、620万ドル(現在のレートで約9億2000万円)で落札された。過去にも何度か食べられたことがある。
制作者であるイタリアの現代美術作家、マウリツィオ・カテラン氏は、皮とテープまで食べなかったことに失望したと語った。
フランス東部の美術館ポンピドゥー・センター・メスは、12日に入館者がバナナをかじると、「警備員が迅速かつ冷静に介入した」と説明。作品は「数分以内に再設置された」と続けた。
「バナナは腐りやすいので、制作者の指示に従って定期的に交換している」という。
カテラン氏は、食べた人が「バナナと芸術作品を混同した」と指摘。「バナナを皮と粘着テープごと食べずに、果肉しか食べなかった」と続けた。
「コメディアン」は、2019年に米マイアミビーチで開催されたアートフェア「アート・バーゼル」でデビューして以来、論争を巻き起こしている。
カテラン氏は「コメディアン」について、投機的でアーティストの助けになっていないと批判してきたアート市場を解説するものだと説明している。
米紙ニューヨーク・ポストは、2019年に「コメディアン」が12万ドル(現在のレートで1780万円)で落札されたことは、アート市場が「狂乱状態」にあり、アート界が「狂っている」証拠だと報じた。(c)AFP