【7月18日 AFP】シリアの暫定政権軍は17日、政府の命令によりイスラム教の少数派ドルーズ派の住民が多数を占める同国南部スウェイダ県から撤退した。英国に拠点を置くNGO「シリア人権監視団」によると、数日にわたる衝突により594人が死亡した。

13日以降、スウェイダではドルーズ派武装勢力とスンニ派のベドウィン(遊牧民)、そして暫定政権軍とその同盟による宗派間の衝突が発生し、数百人が死亡としたと報じられている。

この日AFPの現地特派員が報告したところによると、スウェイダの街は荒れ果て、商店は略奪され、家屋は焼かれ、路上には遺体が放置されていた。また、AFPの取材に応じた医師(39)は「私が見た街は、まるで洪水や自然災害から抜け出したばかりのようだった」と語った。

アハマド・シャラア暫定大統領はテレビ演説で、15日の暫定政権軍展開後にコミュニティー間の流血が激しくなり、イスラエル軍の介入を招いたことを受け、「最高の国家利益に基づいて」スウェイダの治安を地域の指導者たちが再び握ることになると述べた。

イスラエル側は、スウェイダに短期間展開した暫定政権軍に対して空爆を行うと、首都ダマスカスとその周辺の軍本部を含む標的を攻撃。撤退するまで攻撃を激化させると警告していた。監視団によると、イスラエル軍の攻撃でダマスカスでは3人が亡くなっている。

シリア国営SANA通信社は、暫定政権軍撤退後のイスラエル軍の攻撃を報じ、スウェイダ郊外で空爆があったと伝えている。

一方でシリア大統領府は、ドルーズ派勢力が暫定政権軍撤退につながった停戦を破ったと非難。声明で「無法勢力」が民間人に対する「恐ろしい暴力」を通じて、合意を破ったと述べた。

大統領府はまた、「シリアの内政に対するイスラエルの露骨な干渉が続くことは、さらなる混乱と破壊をもたらし、地域の状況をさらに複雑にするだけだ」と警告している。(c)AFP