【7月15日 CNS】「東方快車」は、1980〜90年代に中国が外国からの来賓を迎えるために運行していた観光専用列車だった。一方、「新東方快車」は新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)の広大な草原やゴビ砂漠を走る豪華観光列車で、陸上の「豪華クルーズ」ともいえる体験ができることから、世界中の旅行者に人気を集めている。

新疆鉄道旅遊発展集団・旅行事業部の副部長、王蓓蓓(Wan Beibei)氏によると、「今年は『新東方快車』を35本運行予定で、ほとんどの便がすでに満席になっている」という。今年の列車は設備やサービスがアップグレードされた最新版だ。

王氏は、車体の塗装を一新し、車内ではトイレの手すりなどを高齢者向けに改良。さらに「ワンタッチ呼び出しボタン」も追加され、シニア層にもより使いやすくなったと説明する。また旅行ルートも見直され、南北新疆を巡る従来の環状コースに観光地を追加するなど、旅の内容がさらに充実した。

「たとえば標高3000メートルを超えるタシュクルガン・タジク自治県では、高山病を防ぐために酸素吸入設備のあるホテルを手配している。観光の合間にはティータイムを設けて、体を休める時間も確保している」と話す。

春のイリ・カザフ自治州(Ili Kazakh Autonomous Prefecture)では花を楽しみ、秋のカシュガル市(Kashgar)ではフヤン(ポプラ)を鑑賞。クチャ文化に触れ、楼蘭古国の謎を訪ねる——地域ごとに異なる景色と文化を体験できるのがこの旅の魅力だ。「新東方快車」はこうした自然と歴史・文化を組み合わせ、いわゆる「駆け足観光」にならないよう、ゆとりある深い旅程に仕立てている。

列車には「ゴールドダイヤ」「シルバーダイヤ」「ブルーダイヤ」の3ランクの客室があり、なかでも「ゴールドダイヤ」は2人用のスイートが4室だけという贅沢な仕様。1車両に8人しか乗車しないため、プライバシーも万全だ。旅程は12〜15日間で、新疆南北の主要観光地を巡り、料金は1人3万〜7万元(約61万~142万円)。

高額なだけに、サービスも一流だ。車窓はパノラマ仕様で、シャワー付き個室、娯楽車両、食堂車も完備。さらに専属バトラーや医療スタッフが旅をサポートする。

料金には、空港送迎、列車利用だけでなく、観光地の入場料、ガイド、食事、宿泊、バス移動などもすべて含まれている。「新東方快車」を体験した陳(Chen)さんによれば、「宿泊先は基本的にその地域で最上級のホテルばかりだった」という。

「新東方快車」の魅力のひとつは、そのきめ細かいサービスだ。陳さんは「車内は快適で、食事もとても充実していた」と語る。列車のシェフが各地の郷土料理を用意し、どの土地でも名物料理を味わえたという。好みに応じて選べるメニューもうれしいポイントだった。「民俗芸能のショーや特製のティータイムなど、旅の途中に用意された演出も楽しめた」と話す。

「新東方快車」は夜間に走行し、日中は観光地に停車するスケジュールで、移動効率を高めつつ、乗客の休息時間も確保している。新疆は中国最大の面積を誇り、観光地が広く分散しているため、このスタイルは非常に理にかなっている。

現在、新疆の鉄道営業距離は9500キロを超え、全ての主要都市を網羅している。「新東方快車」は、天山山脈の南北に広がる山や渓谷、ゴビ砂漠、森林、草原、さらには数多くの歴史遺産を結ぶ旅の架け橋になっている。

近年、中国国内では所得の上昇とともに、鉄道によるゆったりとした「スロートラベル」が人気を集めている。シニア世代から働き世代まで、列車に揺られながら移り変わる風景を楽しみ、心を癒やしながら各地の人びととの出会いも楽しむ旅が支持されている。

さらに、中国がビザ手数料を引き下げ、ビザ免除の対象国を広げたことで、外国人観光客も増加。沿岸部だけでなく、中国西部や内陸部を訪れる旅行者も増えている。新疆は自然が豊かで、多様な文化を持ち、インフラ整備も進んでいるため、多くの外国人を惹きつけている。2024年、新疆を訪れた外国人観光客は延べ514万8000人に達し、前年より46%増加した。

拡大する観光需要に応えるため、新疆では「新東方快車」のような豪華列車のほかにも、「天山号」や「環タリム盆地ツアー」などの観光列車商品を展開している。15日間の大周遊から、7日間のコンパクトな厳選ツアーまで、旅行者の多様なニーズに合わせたプランが揃っている。(c)CNS/JCM/AFPBB News