【7月6日 AFP】フランス・パリのセーヌ川で5日、一般市民の遊泳が約100年ぶりに解禁された。1923年以来、水質の悪化などを理由に遊泳が禁止されていたが、水質浄化などの対策が進められ、市内3か所で市民が泳ぎを楽しんだ。

「とても嬉しい。何年もセーヌ川で泳ぐことを夢見ていた」と、ターコイズブルーの水着を着たイングリッドさん(95)は、温かい川に入る際に語った。

蛍光ピンクのスイムキャップをかぶったシャンタル・エイブーレットさん(61)も、「これを30年間待っていた」と興奮気味に話した。

パリ市長アンヌ・イダルゴ氏は、人々が水に飛び込む姿を見守り、「セーヌ川で人々が泳ぐのは子どもの頃からの夢だった。みんなの幸せな姿を見てほしい」と語った。

遊泳ゾーンには、更衣室やシャワーが整備されており、150人から300人がタオルを広げてくつろげるスペースが設けられている。

パリ市当局は、毎日水質の検査を行うなど、安全に遊泳できるよう対策を講じている。

エマニュエル・マクロン仏大統領は、今回の遊泳解禁について、「共同の努力の成果」であり、フランスの「誇り」だとX(旧ツイッター)に投稿した。

セーヌ川での遊泳解禁は、2024年パリ五輪の重要なレガシーとされる。当局は水質改善のため、約14億ユーロ(約2380億円)を投じた。競技会場としてセーヌ川が使用された際には、水質改善が進められた一方で、記録的な降雨により、11競技のうち6競技が中止となった。

パリ市によると、雨が降ると19世紀半ばに整備された下水道システムがあふれ、雨水と汚水が川に流れ込む恐れがある。そのため、水の汚染レベルは毎日旗などで利用者に伝えられ、雨天時には翌日に遊泳エリアが閉鎖される可能性が高いという。

遊泳スポットは、8月31日まで無料で一般開放される予定。(c)AFP