■「苦悩する」ティーンエージャー

ティモシー・G被告は1日夜には出廷し、勾留された。

AFP記者によると、被告は内気な様子で、ひげは薄く、体つきはきゃしゃだった。

弁護人のマリア・スナイツァー氏は、被告を「臨戦態勢の戦士ではなく、苦悩するティーンエージャー」と評した。

消息筋の一人によると、エンジニアを目指していた被告は、ソーシャルメディア、特にTikTokでミソジニー(女性憎悪、女性蔑視)的な動画を好んで視聴していた。

別の消息筋によると、テロ対策検察がインセル運動の一員を自認する男の捜査を求められたのは今回が初めてだという。

「インセル」の概念はこれまで、テロ対策検察が扱った事件少なくとも2件で、わずかに言及されていた程度だった。

テロ対策検察の発表は、フランスで意識が変化している兆しでもある。

司法筋は2023年末、テロ対策検察は長年、インセル運動に関連する事件の捜査を拒否しており、「こうした大量虐殺計画はテロ対策検察には関係ない」と考えているとAFPに述べていた。

ネットフリックスのヒット作「アドレセンス」は、少年たちがインターネット上でさらされる有害で女性嫌悪的な影響について、幅広い議論を巻き起こしている。

当局によると、この痛烈なドラマは英国とフランスの学校で上映される予定だ。

米大統領警護隊(シークレットサービス)の国家脅威判定センター(NTAC)は2022年、「女性嫌悪的過激主義」の脅威を強調した。

英国でも、情報局保安部(MI5)が「インセル」と他の暴力的な陰謀論運動との関連性について警告している。

2014年、童貞であることと女性に拒絶されることへの不満を公言していた米国人のエリオット・ロジャー容疑者は、カリフォルニア州で女性3人を含む6人を殺害した後、自殺した。

2018年、インセル運動に参加していると主張するアレック・ミナシアン受刑者は、カナダ・トロントの交通量の多い歩道にレンタカーで突っ込み、女性を中心とする11人を殺害した。ミナシアン受刑者はこれらの殺人の罪で終身刑を宣告されたが、テロの罪で起訴されることはなかった。(c)AFP