スロバキア国立美術館、チェコ人芸術家の作品を「虐殺」
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【6月27日 AFP】スロバキア国立美術館が、チェコのアーティスト2人による巨大な絵画を破壊した。同美術館の元キュレーターが26日、AFPに語った。
スロバキアではナショナリストのロベルト・フィツォ首相の下、物議を醸す動きが続いている。
破壊されたのは、チェコ人のデビッド・ボーム氏とジリ・フランタ氏が250平方メートル分の石膏ボードに描いた白黒の絵画。スロバキア国立美術館が運営する中部ズボレン城で、2019年から今年9月までの展示予定だった。
だが、キュレーションを手掛けたエバ・コトラリコバ氏によるSNSへの投稿画像によると、作品は半分破壊され、床に破片が散乱し、壁はむき出しになっていた。
同氏は「作品の展示を予定より早く打ち切る場合には、少なくとも作者に連絡するのが常識であり礼儀だ。色々な対応があるが、今回のようなやり方は『虐殺』だ」と批判した。
スロバキアでは民族主義的な政策を推進するフィツォ政権下で、陰謀論や外国人嫌悪で知られる元テレビ司会者のマルチナ・シムコビチョバ氏が文化相に就任。同氏は主要な文化機関のトップを解任した他、LGBTQグループが主導するプロジェクトを中止するなどして批判を浴びている。
元キュレーターのコトラリコバ氏は、国立美術館の館長が解任されたことを受け、今年初めに辞職したという。
スロバキアの美術史家ジュリアス・バルツィ氏は、作者の承諾なく作品を解体することは著作権法に違反するとAFPに語った。(c)AFP