■砂漠の奥深くへ

何時間も砂漠を走り続けて一行が目的地へ到着すると、ちょうど雨が降り始めた。車から飛び出した人々は笑顔であふれていた。ほおを伝う雨粒に故郷を思い出している様子だった。

UAEに住む人々の大半は外国籍だ。中でも同国最大の外国人コミュニティーであるインド人は、約350万人を占める。

UAEは先進的な人工降雨(クラウドシーディング)技術を導入しているにもかかわらず、年間平均降水量はわずか50〜100ミリ。その多くは冬季に短時間発生する激しい嵐によるものだ。

アブダビにあるハリファ大学の気候学者ディアナ・フランシス氏によると、夏季の降水量は5ミリ未満が多く、しかもそのほとんどの降水地域は、人口が集中する沿岸部ではない。

したがって、雨を求める人々は成功の望みをかけて、内陸の奥深い砂漠地帯まで車を走らせなければならない。

インド出身の女性、アナガさんは「雨を見ることができて、わくわくしている」と言った。「家族や友達はみんな、涼しい気候と恵みの雨を楽しんでいるのに、私たちは照りつける太陽の下に住んでいる」

今年4月のUAEは記録的な暑さだった。対照的に、昨年4月は過去75年で最多の雨が降り、1日で259.5ミリの降雨量を記録した。その影響で4人が死亡し、商業の中心地ドバイは数日にわたってまひ状態にさえなった。

世界の異常気象の要因を分析している「ワールド・ウェザー・アトリビューション」では、この極端な降雨について「地球温暖化によって悪化した可能性が極めて高い」と説明している。

「去年の雨はUAE全体が水浸しで、楽しむどころではなかった」というアナガさん。「でも今年は砂漠で雨を見る、そんな体験ができそうです」(c)AFP