【6月12日 AFP】米首都ワシントンの文化施設ジョン・F・ケネディ・センターで11日、大ヒットミュージカル「レ・ミゼラブル」の上演初日を迎え、ドナルド・トランプ大統領が鑑賞した。同作は、抑圧的な指導者に市民が路上でバリケードを築いて抗議する革命の熱狂を描いている。トランプ氏が鑑賞したのは、極めて政治的な意味合いを持っていたと言える。

トランプ氏は、1月に政権復帰して以来、「ウォーク(目覚めている、の意。社会問題や人種差別、性差別などへの意識が高いことを示す)」を根絶するとして、スミソニアン博物館群や大学など、文化機関への保守的な締め付けを強化。

ケネディ・センターについても、自身が同施設の理事長に就任した。前任者の解任については、「ウォーク」への全国的な闘いの一環だと説明した。

トランプ氏の理事長就任を受け、「レ・ミゼラブル」の一部のキャストメンバーは公演をボイコットしたと報じられている。

「レ・ミゼラブル」は19世紀のフランスの市民革命を背景にしているが、折しも米国のロサンゼルスではトランプ政権の不法移民の摘発に抗議するデモ隊が治安部隊と衝突。トランプ氏は、デモ鎮圧のため州兵や海兵隊を動員している。

妻のメラニア氏と会場を訪れたトランプ氏は、ボイコットについて記者団から質問されると、「正直言って、どうでもいい。私が行っているのは、この国をうまく運営することだけだ」と主張。

「これから、この国は安全になる。ロサンゼルスで起こったようなことは起こらないだろう。いいか。私がいなければ、ロサンゼルスは焦土と化していただろう」と述べた。(c)AFP