トランプ氏の「愛のむち」、愛がないよりまし EU外相
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【5月31日 AFP】欧州連合(EU)の外相に当たるカヤ・カラス外交安全保障上級代表は31日、ドナルド・トランプ米政権からの「愛のむち」を受け、欧州は防衛費を増額していると述べ、欧州とアジア太平洋地域との結びつきの強化を訴えた。
シンガポールで開催されたアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で、ピート・ヘグセス米国防長官がトランプ氏の防衛費増額へのこだわりを「愛のむち」と呼んだ。
その後、ヘグセス氏の演説について問われると、カラス氏は「それでも愛には変わりない。だから、愛がないよりはましだ」と皮肉を込めて答えた。
トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対し、防衛費を国内総生産(GDP)の5%に増額するよう圧力をかけ続けており、米国はもはやただ乗りする国を容認しないと表明した。
カラス氏は、「欧州にはさまざまな国があり、中にはずっと以前から国防費増額の必要性を認識していた国もある」と述べた。
「私たちがより多くのことを行っているのは良いことだが、私が強調したいのは、欧州の安全保障と太平洋の安全保障は密接に結びついているということだ」と訴え、ウクライナで既に北朝鮮軍が活動し、中国がロシアに軍装備品を提供していることを例に挙げた。
「米国防長官の演説には、中国に関する非常に強いメッセージが含まれていた」「改めて思うに、中国を懸念するならば、ロシアについても懸念すべきだ」とカラス氏は述べた。
EUはアジア太平洋地域において、防衛分野を含む「相互利益のためのパートナーシップ」を構築したいと考えている。
「EUは方針を転換し、強固な防衛力に裏打ちされた平和プロジェクトとして、自らのパラダイムを再構築した」「私たちは急速に世界的な安全保障パートナーになりつつある」とカラス氏は述べた。
ヘグセス氏はこれに先立ち、各国の代表団に対し「われわれは欧州の同盟国に対し、自分たちの安全保障をもっと自分たちで担い、防衛費を増額するよう促している」「トランプ大統領のおかげで、彼らは積極的に行動している」と述べていた。(c)AFP