駆除したヒグマ肉の食用許可 スロバキア
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【5月29日 AFP】スロバキア政府がヒグマの肉の食用を許可したのを受け、環境保護活動家らは28日、この決定は不条理であり、密猟を助長すると猛反発した。
ナショナリストのロベルト・フィツォ首相率いる政権は先月、人への危険性とヒグマの個体数の着実な増加を理由に、ヒグマ350頭の駆除を承認した。
環境省のフィリップ・クッファ事務次官は今週フェイスブックで、「クマ肉は食べられるので」駆除したクマを再販すると述べた。
ヒグマは欧州で保護されているが、狩猟については例外規定があり、スロベニアを含むいくつかの国ではクマ肉の食用も認められている。
クッファ氏は、クマ肉は市場に出回る前に、保護の例外規定に従って狩猟されたことを示す証明書を取得しなければならないと説明した。
環境保護活動家マリアン・フレトコ氏は28日、AFPの取材に対し、クマ肉は環境省傘下の機関によって提供されるため、この決定は「不条理」だと非難。
「自然保護を目的とした組織が、保護動物の肉を提供する国営の食肉処理場と化してしまうだろう」と述べた。
また、「政府がクマの保護に関心がないことを示せば、密猟者は処罰される可能性を気にしなくなる」ため、密猟を助長するとの見解も示した。
政府は4月、クマによる死亡事故が相次いだのを受け、「望ましくない」クマの存在をめぐり、スロバキアのほとんどの地区で非常事態を宣言した。
フィツォ首相は「人が森に行くのを恐れるような国では生きていけない」と述べた。
スロバキア議会は既に2024年5月、クマ駆除の規則を緩和し、複数の地区で例外を認めている。
だが、スロバキアは、他に解決策がない場合に限り、器物損壊や人身事故を起こした問題のあるクマの駆除のみを認める欧州連合(EU)指令に従わなければならない。
フレトコ氏は、人口540万人のスロバキアでは、2024年に過去最多となる92頭のクマが射殺され、さらに52頭が自動車事故や密猟で死んだと述べた。
トーマス・タラバ環境相は最近、スロバキアのクマの個体数が1300頭を超えたと述べた。(c)AFP