ドイツ、一部移民の家族呼び寄せを制限 国籍取得も厳格化
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【5月29日 AFP】ドイツ政府は28日、一部の移民の家族呼び寄せを制限し、国籍取得の規則を厳格化する計画で合意した。
移民の取り締まりは、保守派のフリードリヒ・メルツ首相が2月の総選挙で掲げた主要公約の一つ。同氏は今月の就任後、速やかに国境管理に着手した。
アレクサンダー・ドブリント内相は28日、記者団に対し、不法移民の削減に向けた「決定的な日」となると述べた。
家族呼び寄せの停止は2年間続き、難民条約上の難民には該当しないが他国での保護を必要とする「補完的保護」を受けている人々が対象となる。
ドブリント内相は、今回の措置は、新規移民の支援と社会統合を担う地方自治体の「負担軽減」に役立つと説明。
欧州移民危機を受けて、2016年~2018年にも同様の措置が取られたと続けた。
ドブリント内相はまた、中道左派のオラフ・ショルツ首相率いる前政権が実施した改革を撤回すると発表した。この改革では、一部の移民は「社会統合において特に成功した」ことを証明できれば、3年以上の居住で国籍取得を申請できるとされていた。
だが、居住要件は今後、5年以上に引き上げられる。
ドブリント内相によると、この新たな措置は、非合法な手段でドイツに入国しようとする移民を「引き寄せる要因」を減らすのに役立つという。
だが、移民政策の専門家のヘルベルト・ブリュッカー氏は、家族呼び寄せの停止は移民の抑制に「非常に小さい」効果しかなく、「人道的観点から問題がある」可能性があると指摘。
さらに、3年以上の居住で国籍取得を申請できる可能性がなくなることは、ドイツの雇用市場の空白を埋める取り組みの妨げになる可能性があると続けた。
ブリュッカー氏はこの措置について、「難関資格を持ち高収入の、まさにドイツが望む」移民に影響を与えるとの見解を示した。
長年にわたり移民に反対してきた極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は2月の総選挙で、20%余りという過去最高の得票率を獲得。同党の幹部は、外国人の大量送還を要求している。
メルツ氏は、AfDに迎合的な言動を批判されているが、移民問題に取り組むことがAfDの支持拡大に対抗する唯一の方法だと主張している。
28日の決定は、7月から始まる夏休みの前に議会で承認される見込み。
今月導入された厳格な国境管理は、難民認定申請者を含むすべての不法移民を強制送還することを目的としており、ドイツの近隣諸国をいら立たせている。
ドブリント内相は「これらの決定が批判を集めているのは当然だ」「しかし、われわれが移民に関する方針を変えたことを明確に示すためには必要だ」と述べた。(c)AFP