イスラエルはなぜ中東欧諸国から強く支持されるのか
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■分断を利用するネタニヤフ氏
こうした国々がイスラエルと親密な関係にある背景には、ホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)と、共産主義政権下でまん延した反ユダヤ主義から逃れるためにイスラエルに移住した人々の存在もある。
こうした歴史的な理由は徐々に薄れつつあるが、一部の国では新たな現象が台頭している。それは、自由民主主義への嫌悪感だ。
ハンガリーのオルバン・ビクトル首相、スロバキアのロベルト・フィツォ首相、チェコのミロシュ・ゼマン元大統領は、いずれもイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の政治理念に同調している。
プラハ国際関係研究所のアズリエル・ベルマント氏はAFPに対し、ネタニヤフ氏は「分断を利用する」政策を追求しており、だからこそハンガリーのような国々と友好関係を築いてきたと指摘。
ネタニヤフ氏にとって、EUの不満をよそに、EUの決定に楯突くようなオルバン氏のような指導者を頼りにできるのは特に都合が良い。
ネタニヤフ氏が先日ハンガリーの首都ブダペストを訪問した際、ハンガリーは国際刑事裁判所(ICC)から脱退すると表明した。ICCは、カザにおける戦争犯罪の容疑でネタニヤフ氏に逮捕状を出している。
中東欧がイスラエルを支持するもう一つの要因は、「イスラエルがイスラムに対する戦争の最前線にいるというナラティブ」であり、このナラティブは、それぞれの国々で極右運動による「反ユダヤ主義の隠れみの」としても利用されていると、ベルマント氏は指摘した。