【5月24日 AFP】ロシア第2の都市サンクトペテルブルク(ソ連時代の名称はレニングラード)の裁判所は23日、第2次世界大戦のレニングラード包囲戦を生き延びた高齢女性に対し、ウクライナでの軍事作戦が続く中で、平和を求めるプラカードを掲げてロシア軍の「信用を傷つけた」として罰金1万ルーブル(約1万8000円)を言い渡した。

リュドミラ・バシリエワさん(84)は今年3月、プラカードを掲げて路上に立っていた。そこには、「皆さん、戦争をやめましょう。私たちは地球の平和に責任がある。レニングラード包囲戦の子、リュドミラ・バシリエワより、愛を込めて」と書かれていた。

検察がバシリエワさんを起訴するには、これが十分な証拠だった。

ウクライナ侵攻が始まってから3年以上が経過する中、ロシアは軍事作戦への批判を禁止し、ソ連時代以来行われていなかった検閲を導入した。

バシリエワさんは今週、判決言い渡しを前に自宅アパートでAFPのインタビューに応じ、祖国ロシアの運命について「苦々しさ」を感じるとともに「傷心」していると述べた。

「私は子どもの頃からずっと冷淡な人間ではなかった。常に弱者の側に立ってきた」と語った。

アパートの壁には、バシリエワさんの母親の肖像が飾られていた。バシリエワさんと母親、4人のきょうだいはいずれもレニングラード包囲戦を生き延びた。

「母はいつもこう言っていた。『戦争さえなければ、私たちはすべてを乗り越えられる』」とバシリエワさんは語った。

レニングラード包囲戦は1941年9月に始まり、872日間続いた。

1944年1月に赤軍がようやく包囲を破るまでに、60万~150万人が亡くなった。ほとんどは餓死だった。

レニングラード包囲戦は、多くのロシア人にとって象徴的な意味を持つ。包囲戦で兄を亡くし、自身も戦後の荒廃したレニングラードで生まれたウラジーミル・プーチン大統領もその一人だ。(c)AFP