【5月23日 AFP】英国のシャバナ・マフムード法相は22日、一部の性犯罪者に対する化学的去勢の義務化を検討していると明らかにした。再犯防止と刑務所の過密緩和が狙いだという。

この案は、イングランド南西部の刑務所で2022年に試験導入された、性欲を抑制する薬物が任意で提供される制度を基盤としている。

デイビッド・ゴーク元法相が主導する独立調査では、2028年初頭までに刑務所の収容可能人数が約9800人不足すると予測されている。この調査の勧告には、再犯率を下げるために性欲抑制薬をより広範に使用することも含まれている。

マフムード法相は議会で、「調査では、問題のある性的興奮を管理するためのいわゆる薬物療法の試験的運用を継続することが推奨されている」「まずは2地域で20の刑務所を足掛かりに、全国展開を進める。そして、このアプローチの義務化が可能かどうかを検討している」と述べた。

マフムード氏は、特に性犯罪者が性欲ではなく権力欲や支配欲によって動機付けられている場合、心理療法が依然として不可欠だと述べた。

化学的去勢の義務化について問われたキア・スターマー首相の報道官は記者団に対し、「性欲抑制薬の使用が危険な性犯罪者への対処に効果的であることを示す科学的証拠は明確であり、だからこそわれわれはその使用を拡大している」と回答した。

今年3月31日時点で、イングランドとウェールズでは1万4863人が性犯罪で服役しており、成人受刑者の約21%を占めている。一方、暴力犯罪で服役している受刑者は全体の34%を占めている。

化学的去勢は、ポーランド、ロシア、韓国、ラトビア、デンマーク、ドイツなどの国々、そして米国のいくつかの州で行われている。

米カリフォルニア州では、13歳未満の児童に対する性犯罪の再犯で有罪判決を受けた者は、釈放前に化学的去勢を受けることが義務付けられている。(c)AFP