ドリアンが値下がり、今後さらに安くなる可能性も 中国
このニュースをシェア
【5月21日 東方新報】「果物の王様」とも呼ばれるドリアンの価格が、中国でこのところ下がり続けている。中国農業農村部によると、5月3日以降、全国のドリアン卸売平均価格は12日連続で下落し、5月15日時点で1キロあたり53.34元(約1069円)となった。5月3日からの下落率は約24%、1か月前と比べてもほぼ同じ水準の下落となる。
北京市の生鮮スーパーや果物専門店でも、こうした傾向は顕著だ。通州区のスーパーでは、タイ産A+グレードの「金枕(モントン)」がこれまでの1斤(600グラム)当たり39.8元(約798円)から29.8元(約597円)に値下げされており、今年に入って最も安い水準だという。同じ店ではギフト用ボックスも用意されており、サイズによっては1斤あたりの実質価格が40元(約802円)前後になる。
石景山区の別の果物スーパーでも、5月12日に価格が変更され、Aグレードが39.8元、Bグレードが29.8元に引き下げられた。一方で、一部の専門店ではAグレードが49.9元(約1000円)と、まだ高値を維持しているところもある。
こうした値下げの動きに対し、昨年のように「1斤10元(約200円)以下になるのでは」と期待する声もある。実際、2023年のメーデー連休明けには「100元(約2000円)で5個買える」「広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)では激安販売が始まった」などの話題がネットをにぎわせた。
しかし今年は事情が違う。農業農村部の発表によれば、2025年5月のドリアン卸売価格は前年同月より約35%高く、北京の新発地市場でもタイ産とベトナム産の主要品種が前年より10~14%高い。背景には、中国の税関が2024年末にタイ産ドリアンから工業用染料を検出し、すべての輸入品に対して100%検査を実施するようになったことがある。これにより通関が通常の2~3日から5~7日に延び、保管・流通コストも上昇している。
さらに、今年はタイでの収穫時期が遅れているうえに、4月の出荷量も少なかった。その影響で流通が滞り、価格が高めに推移している。
しかし、今後の見通しは明るい部分もある。農業農村部の果物アナリスト趙俊曄(Zhao Junye)氏によると、5月から8月にかけては東南アジア産の生ドリアンが集中して中国に入る時期であり、現在はまだ出荷が本格化していない段階だ。タイやベトナムで収穫がピークを迎えれば、供給量が増え、価格も下がっていく可能性がある。
輸入ルートの多様化も価格安定の要因となっている。かつてはタイからの輸入がほとんどだったが、現在はベトナム、マレーシア、フィリピンからの輸入も増えている。2024年の輸入量は約156万トンに達し、そのうちベトナム産が約47%を占める。2022年にはベトナム産はわずか5%だったことを考えると、急拡大していることがわかる。
品種によって価格差が大きいことも特徴だ。たとえば、ベトナムの「カニャオ」は比較的安価で、日本でも人気の高いマレーシアの「猫山王(ムサンキング)」は高級品として扱われている。
趙氏は、主力品種である金枕やカニャオは6~7月に価格が底を打ちやすく、果肉の質や糖度も最も高まる時期だと説明している。一方で、AAランクなどの高品質グレードはそれほど値下がりしない可能性もあるという。(c)東方新報/AFPBB News