【10月28日 東方新報】中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」の一環で、中国本土と東南アジアを結ぶ交通網が進み、「物流革命」をもたらしている。

 2021年12月、中国南部・雲南省(Yunnan)昆明市(Kunming)とラオスの首都ビエンチャンを結ぶ「中国ラオス鉄道」が開通した。ボーイング(Boeing)757の最大貨物積載量が25トンに対し、中国ラオス鉄道の列車は最大積載量1250トンを誇る。

 タイとの国境付近を除けば鉄道が存在しなかったラオスに高規格鉄道が誕生し、中国との距離は一気に縮んだ。ビエンチャンとタイの首都バンコクは高速道路で結ばれており、中国から見れば東南アジア諸国との距離が大きく縮んだ。

 物流革命の象徴は、中国人が大好きなドリアンだ。独特の臭みがある一方、クリーム状の果肉は甘く「果物の王様」と言われ、中国人は生で食べるほか、火鍋やピザにも使う。2017年の輸入量は22万トンだったが、2022年は4倍近い82万5000トンに増加。金額で40億3000万ドル(約6038億5520万円)に達し、中国が輸入する果物のトップだった。

 今年はすでに上半期だけで78万7000トンのドリアンを輸入しており、タイ産が60万トン、ベトナム産が18万トンを占める。タイのドリアン輸出額は今年1〜7月で約37億ドル(約5544億800万円)に上り、コロナ禍前の19年1〜7月の3倍超に拡大した。

 東南アジアからはドリアン以外にもサクランボ、オレンジ、プルーン、マンゴスチン、ドラゴンフルーツ、リュウガンなどの中国への輸出が増えている。輸送期間の短縮と税関のワンストップサービス、コールドチェーン物流が発達した恩恵だ。

 中国からは機械や電気製品、自動車部品などを輸出し、鉄道や高速道路による「ゴールデンルート」を通じて貿易が活発になっている。コロナ禍で貿易が滞った時期から一転、ウィンウィンの関係を築いている。

 10月16日には、雲南省から2本のコールドチェーン列車が出発し、翌日にラオス・ビエンチャンとベトナム・ラオカイにそれぞれ到着。国際コールドチェーン貨物列車の運行が始まった。国境を越えた交通網が拡張を続け、国際貿易の動脈をより太くしている。(c)東方新報/AFPBB News