【5月8日 AFP】スウェーデン政府は、いわゆる名誉犯罪の危険にさらされている少女と女性を保護するため、「処女検査」の犯罪化を検討している。関係筋が7日、AFPに明らかにした。

保健福祉庁(社会庁)によると、「処女管理」や「処女証明」、処女膜再生手術に罰則を科すことが閣僚らの間で検討されている。こうした検査は、女性の処女膜を観察し、処女であるかどうかを確認するために行われる。

世界保健機関(WHO)はこうした慣行について、科学的根拠がなく、女性のセクシュアルインテグリティー(性の完全性)を侵害するものだと指摘。2018年には禁止を求めた。

保健福祉庁はAFPに対し、「これらの提案は、こうした行為を処罰の対象とし、加害者が有罪判決を受けられるようにすることを目的としている。現状ではそうなっていない」と説明した。

現在、処女検査を行う専門家は、職務上の懲戒処分しか受けていない。

政府の委託を受けた報告書によると、スウェーデンで処女検査や処女証明書の発行、外科的介入は広く行われていないとされる。

だが、報告件数が大幅に不足しており、実態を反映していない可能性もある。報告書はまた、女性が国外で検査を受けることもあると指摘している。

欧州評議会によると、名誉犯罪は、伝統や、コミュニティー特有の宗教的・文化的・慣習的要求を尊重する目的で、家族によって行われることが多い。

国連女性機関は処女検査について、人権を侵害し、少女や女性の性と生殖に関する健康と権利を「多大な危険にさらす」有害な慣習だと指摘している。

スウェーデンのニーナ・ラーション・ジェンダー平等相は4月22日の記者会見で、「名誉に関連した抑圧の特徴的な点は、女性のセクシュアリティーが家族全体の問題として認識されるという、集団的な側面にある」と指摘。

「これは女性と少女のパーソナルインテグリティー(人格の完全性)に対する深刻な侵害に当たる」と述べた。

ジェンダー平等省とグンナル・ストレンメル法相率いる法務省は、2025日12月1日までの法改正施行を目指している。(c)AFP