【三里河中国経済観察】中国は世界のビジネス信頼の「安定装置」に
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【5月5日 CNS】上海臨港にある米電気自動車(EV)大手テスラ(Tesla)のギガファクトリーでは、ロボットアームの動きがいつもより速くなっている。新型「Model Y」の量産が加速しているためだ。
この工場は、イーロン・マスク(Elon Musk)氏がかつて「世界で最も効率的な工場の手本」と称した場所だが、2024年には、テスラが米国外で初めてとなるエネルギー貯蔵のギガファクトリー建設にも上海市で着手している。
一方、米国は近年、さまざまな理由を挙げて中国を含む多くの貿易相手国に対して追加関税を乱発し、国際社会から強い反発を受けている。
「米中関係が緊張しているとはいえ、多くの米国企業は対中協力を維持、あるいは拡大する意向だ」
このように報じたのは、米国商工会議所財団による調査結果を引用した「ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)」である。回答した約40社の会員企業のうち約70%が、中国との協力を今後も維持または拡大する計画だと答えており、企業法務顧問協会に所属する126社のうち60%以上も同様の意向を示している。
調査報告の共著者であり、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)教授のメグ・リスマイアー(Meg Rithmire)氏は、「米国企業が中国から大規模に撤退している事実はない」と指摘する。これは、中国市場の対米企業に対する吸引力が依然として強く、消費の高度化や制度の開放を通じて新たな価値を創出しているという明確なシグナルである。
■データが示す対中投資の現実
統計から見ても、中国市場は米国企業にとって常に有望な投資先であり、数多くのビジネスチャンスと利益をもたらしている。
たとえばテスラの中国における販売台数は2024年に65.7万台を超え、前年比8.8%増と過去最高を記録した。ゴールドマン・サックス(Goldman Sachs)、アメリカン・エキスプレス(American Express)、バンク・オブ・アメリカ(Bank of America)、メットライフ(MetLife)などの米系金融機関も、中国の金融機関への戦略投資で大きなリターンを得ている。
米国商務省が2024年8月に発表したデータによると、2022年に中国で事業を展開する米国企業(大半が持株比率過半かつ資産・売上・純利益が2500万ドル<約35億6250万円>以上)は1961社にのぼり、売上総額は4905億2000万ドル(約69兆8991億円)で前年比4.3%増となっている。
■グローバル企業が注目する戦略的価値
世界経済の先行き不透明感が強まる中でも、多くの多国籍企業は中国市場に対して合理的かつ前向きな評価を下している。これは、中国が「高品質な成長」に向けた過程で、依然として戦略的価値を持つ市場であることを示している。
米国による追加関税措置は世界経済にリスクをもたらしているが、中国市場には独自の「三重の引力」がある。すなわち、超大規模市場の恩恵が継続していること、41の主要産業分類にまたがる包括的な産業エコシステムが存在していること、そして新たな消費シーンや業態が次々と生まれていることだ。
2024年の中国における社会消費品小売総額は48.8兆元(約957兆851億円)に達し、新エネルギー車やデジタル経済などの新たな分野では前年比15%以上の成長を記録した。
■継続する米企業の対中投資
こうした背景のもと、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、マイクロソフト(Microsoft)、カミンズ(Cummins)などの米国企業は引き続き中国での投資を強化している。これらの企業が重視しているのは、中国市場が持つ巨大な消費ポテンシャルだ。
米ゼネラル・エレクトリック(GE)からスピンオフされた医療機器メーカー・GEヘルスケア・テクノロジーズ(GE HealthCare Technologies)は次のように中国新聞社(CNS)の「三里河」に回答している。「当社は中国で100年以上にわたり事業を展開しており、現地化された製造体制と技術開発力を備えている。現在、中国で販売している製品の大多数は中国国内で生産されている」
「GEヘルスケアは中国市場に対するコミットメントを変えず、今後も顧客と患者のためのサービス提供に力を尽くしていく」
■国際調査でも信頼性を証明
米国の経営コンサル大手・アーンスト・アンド・ヤング(Ernst & Young)の「2025年外国直接投資信頼指数(FDI Confidence Index)」報告によれば、中国は4年連続でトップ10に入り、3年連続で新興市場の中で1位を維持している。
これらの調査結果は、中国がこれまでも、今も、そしてこれからも、外国企業にとって理想的で、安全かつ有望な投資先であることを裏付けている。
A.T.カーニー(A.T. Kearney)大中華圏プレジデントの賀暁青(He Xiaoqing)氏は次のように述べている。「世界経済の不確実性が高まるなか、中国市場は安定した成長、開かれた姿勢、そして革新の活力によって、世界のビジネス信頼の「安定装置」としての役割を果たす可能性が高い」(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News