2025年ボアオ・フォーラム、アジア経済交流を活性化
このニュースをシェア
【4月21日 CNS】中国・海南省(Hainan)博鰲鎮(Boao)にて3月25日、「ボアオ・アジア・フォーラム2025年年次総会」が開幕した。翌26日には日中企業家対話会が開催され、日本のメディアもこれを報じた。
ボアオ・フォーラムはアジアの課題に特化した国際会議である。1998年、アジア通貨危機が世界経済・金融に深刻な影響を与える中、アジア諸国は政策交流や自らの立場を発信する場を求めており、そうした背景のもとでボアオ・アジア・フォーラムは誕生した。20年以上の発展を経て、同フォーラムの影響力は拡大し、アジア諸国のみならず、米国や欧州、アラブ諸国など域外の経済体も参加するようになった。
ボアオ・アジア・フォーラムは政治家や外交官だけでなく、多くの企業家を招いており、より広範な社会的基盤と影響力を持っている。
2025年の年次総会は「激動の世界でアジアの未来を共に創る」をテーマとし、議題はグローバル・ガバナンス、経済のグローバル化、地域統合、人工知能(AI)とデジタル経済、気候変動、持続可能な発展など、注目度の高い問題を幅広く取り上げている。
香港中文大学(The Chinese University of Hong Kong)(深セン)公共政策学院の院長・鄭永年(Zheng Yongnian)氏は最近のインタビューで、「今年のテーマは現在の国際情勢への鋭い応答だ」と述べた。
世界は今、「100年に一度の大変動」に直面しており、一国主義や保護主義の台頭、地政学的な対立の激化、さらには米国など先進国での統治危機の深刻化が進んでいる。アジアの未来は、自らの発展を追求するだけでなく、各国の企業家に安定した成長の場を提供することも求められている。こうした背景から、ボアオ・アジア・フォーラムは「包摂的な多国間主義」による国際的合意の再構築を呼びかけている。
中国はこのフォーラムを通じて、平等な対話を促進し、「デカップリング(経済切り離し)」や排他的な陣営対立に反対の姿勢を示し、グローバル・サウス諸国に対しては開放的な協力のモデルを提供している。
鄭氏によれば、今年の年会の中心議題のひとつが「AIガバナンス」である。中国を例に取ると、技術の独占や規制の空白といった課題に対して、AIの応用と規制のバランスを模索しており、「オープンソース技術の共有」と「強化された規制」の両立を提唱している。これは、かつての原子力技術のように、社会が統治の難しさで苦しまないための取り組みでもある。さらに、中国は「AI+」で伝統産業に力を与えることに取り組んでおり、多くの発展途上国にオープンソース技術を提供し、自国の発展経験を国際的な公共財として還元しようとしている。
今年の年会では、気候問題も大きな焦点となる。特に、先進国と発展途上国との間で責任の所在をめぐって続く対立に向き合い、南北の対話を促進することが狙いだ。これは気候交渉の停滞に対する応答であり、「パリ協定(Paris Agreement)」の実施に新たな推進力を与えるものでもある。
このように、2025年のボアオ・アジア・フォーラム年会は、グローバル・ガバナンスに対する知見を多方面から提供するとともに、中国が提唱する「グローバル発展イニシアティブ」「グローバル安全保障イニシアティブ」「グローバル文明イニシアティブ」の精神を色濃く反映している。(c)CNS/JCM/AFPBB News