【三里河中国経済観察】中国経済、AIなど新技術で成長エンジンに
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【3月17日 CNS】具身型AI(エンボディド・インテリジェンス)、6G、AI搭載のスマートフォンやパソコン、スマートロボット──。
今年、中国政府の「政府活動報告」には、こうしたテクノロジー革新に関連する多くの新語が初めて盛り込まれ、新たな生産力の発展に向けた課題が明確に打ち出された。
昨年、初めて「新たな質の生産力(新質生産力)」という概念が政府活動報告に登場したが、今年はさらに具体的な表現となっている。
その背景には、中国の新質生産力の発展が活発に進んでいる現状がある。
今年に入り、人工知能(AI)を中心とする中国のハイテク分野が注目を集め、次々と新たな技術成果が登場し、さまざまな「未来技術」が姿を現している。
米国の「ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)」も以前、「中国はAI分野で進展しており、技術が経済の長期的成長を支えるとの信頼を強めている」と報じている。
全国政治協商会議委員であり、インターネットセキュリティー企業「360」の創業者、周鴻禕(Zhou Hongyi)氏は、「中国のイノベーション環境は、世界最先端のテクノロジー成果を生み出せるポテンシャルを十分に備えており、それが世界にも恩恵をもたらす」と述べた。さらに、AIの発展にも新たな示唆を与えているという。
全国人民代表大会代表であり、清華大学(Tsinghua)国家金融研究院の院長である田軒(Tian Xuan)氏は、「中国の新質生産力には大きな潜在力があり、経済を新たな成長段階へと導くだろう」と指摘した。
昨年1年間では、ハイテク製造業と装備製造業の付加価値はそれぞれ8.9%、7.7%増加し、電気自動車の年間生産台数は1300万台を突破。情報通信・ソフトウェア・ITサービス業の付加価値は10.9%、賃貸・ビジネスサービス業は10.4%増と高成長を記録した。
政府活動報告の起草責任者である国務院研究室の主任・沈丹陽(Shen Danyang)氏は、3月5日に国務院の記者会見で「近年、新しい産業と新しい成長エネルギーが急成長しており、電気自動車(EV)、太陽光発電、造船などの分野では世界をリードする水準に達した。AI産業も爆発的に成長しており、中国経済はまさに強力な新エンジンを手に入れている」と述べた。
企業こそが新質生産力の主役であり、その発展には企業をイノベーションの主体とし、技術革新と産業構造の連携を強化することが不可欠だ。
記者の取材によると、現在、多くの中国企業がAIや人型ロボットなどの新分野への投資を加速させている。
AIを例に挙げると、全国人民代表大会代表であり、家電大手「海爾(ハイアール、Haier)」董事会会長・CEOの周雲傑(Zhou Yunjie)氏は「AIは今回の科学技術革命と産業変革をけん引する戦略的技術であり、リーダー的な役割を果たしている」と述べた。
さらに、全国人民代表大会代表であり、音声認識大手「科大訊飛(アイフライテック、iFLYTEK)」董事長の劉慶峰(Liu Qingfeng)氏は「2025年の中国経済で最も注目すべきは、AI+がもたらす新たな生産力の変革である。AI技術は多くの分野を根本から再構築している」と強調した。
人型ロボットについては、全国人民代表大会代表であり、小鵬汽車(XPeng)董事長兼CEOの何小鵬(He Xiaopeng)氏は「人型ロボットはAI・先端製造・新素材などの融合技術の集大成であり、次世代産業の発展と新たな生産力創出の重要な突破口である。多くの企業が参入し、業界は急速に加速している」と語った。
全国人民代表大会代表であり、家電メーカーTCL科技集団(TCL Technology)創業者の李東生(Li Dongsheng)氏も「企業はイノベーションの中核としてより大きな役割を果たすべきだ。中国企業はハイテク・重資本・長期投資が求められる国家戦略産業に注力し、世界の産業サプライチェーンにおける発言力を高め、中国経済の高品質な発展を支えるべきだ」と述べた。(c)CNS-三里河中国経済観察/JCM/AFPBB News