四川省のパンダを訪ねる特別なエコツアー・中国
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【4月19日 Peopleʼs Daily】パンダを訪ねて四川省に行けば、どんな収穫があるか?
「大熊猫国家公園」でパンダの遊び戯れる姿を見たり、生態や繁殖について学んだりすることができる。そしてパンダ以外にも、新しく発見された植物種や現地の自然の中でパンダと共生する多様な動植物の元気に育つ様子を見ることができる。そして、多様で豊かな「自然教育活動」が待っている。
2024年以来、「成都ジャイアントパンダ繁育研究基地」「大熊猫国家公園」の臥竜(Wolong)片区や王朗(Wanglang)片区を直接つなぐ「四川ジャイアントパンダ追跡エコツーリズムコース」が、観光客に一味違った体験を提供している。
「成都ジャイアントパンダ繁育研究基地」は観光客で賑わっている。基地の事務棟1階にあるジャイアントパンダをテーマにした展示パネルの前では、観光客が熱心にジャイアントパンダの生活や習性について学んでいる。
「大熊猫国家公園」は、ジャイアントパンダ保護の重要な科学研究拠点だ。近年、同公園の臥竜片区で野生のジャイアントパンダが撮影されたり、新種の植物が発見されたりしたことで、四川省への関心がますます高まっている。
大型スクリーンでは、野生のジャイアントパンダの画像監視ポイントのリアルタイムの映像を随時観察することができる。
超短波伝送を組み合わせたローカルエリアネットワークを使用し、パンダの「顔識別技術」を補うことで、野生パンダの野外実況中継が実現し、野生パンダの生存状況の詳細な監視、分析に役立っている。
リュックを背負い、アルペンストックを手にしたパトロール隊員の羅春平(Luo Chunping)さんは、荷物をまとめ、同僚に大声で合図をして、大股で歩き始めた。「大熊猫国家公園」王朗片区の牧羊場保護ステーションから固定監視サンプルラインに向かってパトロールに出発したのだ。
王朗片区にはジャイアントパンダのほか、中型・大型の哺乳類が72種、鳥類280種以上が生息し、その多くが国家重点保護対象の野生動物だ。羅さんは「夏には多くの観光客が動植物の追跡や撮影に訪れる。冬には雪を鑑賞したり、展示を通して動物たちの越冬について学んだりする人も多い」と話す。
「大熊猫国家公園」には多様で豊かな動植物資源が存在し、各種保護活動の実施により、ジャイアントパンダの「アンブレラ効果」が顕著に現れている。
「いわゆる『アンブレラ種』とは、その生息環境のニーズが他の種のニーズもカバーしているので、その種を保護することで他の種も守られるという考え方だ。ジャイアントパンダを保護することで同時に保護されるその他の動植物は『共存種』と呼ばれている」、羅さんは巡回パトロールの道すがら、このように説明してくれた。
現在、ジャイアントパンダの生息環境はますます改善され、同じ環境を共有する金糸猴(キンシコウ)、雪豹(ユキヒョウ)、紅豆杉(チュウゴクイチイ)など1万種以上の「共存種」の動植物も、しっかりと保護されている。
少し前、女性旅行者・林(Lin)さんが王朗片区の自然教育センターを訪れた。この地域の生態系の基盤、岷山(Minshan)森林の動態モニタリングネットワークの状況、ジャイアントパンダのフィールドモニタリングのリアルタイム映像などなど、彼女は「ここに来るのは初めてだが、とても勉強になった」と何度も感嘆の声を上げた。
次に彼女は、野生のジャイアントパンダやその他多くの自然の共存種が生息する「岷山国家永久保護モデル区」に向かった。彼女はイヤホンを装着し「ここでは森林を構成する小さなユニットから、環境因子、動植物種の組成、群落の構造と生物の群集構造、生物量(biomass)バイオマスなどについて深い理解が得られる・・・」という解説の音声に聞き入った。
「解説を聞き、説明ボードに書かれた科学的知識を学べば、たとえ初めての場所でも、その地の動植物がよく理解できる」、彼女はこのように話す。
彼女が参加したこの体験ツアーこそが、綿陽市(Mianyang)平武県(Pingwu)王朗白馬風景区管理局が専門機関と共同で設計した「原始林の健康診断」というテーマの見学ルートの一つだ。参加者は見学ルートを辿りながら、自然を研究探索することができる。解説付きの見学ルートは全部で16本あり、18種類の解説テーマが用意されている。
現在これら自然教育ルートはとても充実している。風景区では自然教育ルートを、観察体験型、研究探求型など4種類に分け、異なる年齢層やリピーター向けなど総合的なニーズを満たすことができるようにしている。
一般市民はエコツーリズムに参加し、自然教育を受けることができる。ジャイアントパンダ国立公園における自然教育と生態系の体験ツアーは、ますます盛んになっている。
「ジャイアントパンダ国立公園自然教育連盟」が設立され、平武県と汶川県では自然教育総校2校と分校14校が設立され、延べ1000人余りの常勤・非常勤の自然教育専門家が育成され、自然教育の解説チームは500人に達している。
昨年、この四川省の自然教育を体験した人の総数は、延べ440万人を超えた。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews