経済のグローバル化に関する3つの質問
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【4月17日 Peopleʼs Daily】世界経済が回復の勢いを欠く現在、保護主義の脅威が高まり、世界的な貧富の差が拡大する中で、国際社会における経済のグローバル化に関する議論も活発化している。この問題に関する主な質問は、以下の3つである。
■経済のグローバル化は停滞、あるいは後退したのか?
経済のグローバル化は停滞どころか後退もしておらず、逆風にもかかわらず発展を続けている。
国連貿易開発会議(UNCTAD)が発表した「世界貿易の最新動向」報告書によれば、2024年の世界貿易総額は33兆米ドル(約4944兆7200億円)に達し、前年比3.3パーセント増加すると予想される。世界貿易は強い回復力を示しており、特にデジタル貿易とサービス貿易は日増しに活発化している。
たとえ一国主義や保護主義がまん延し、一部の国が「デカップリング」や「サプライチェーンの分断」、「囲い込み型の経済政策」に熱中したとしても、世界全体の構図から見れば、各国の企業は依然としてグローバルな供給チェーン、産業チェーン、価値のチェーンの中で共に繁栄している。
中国が「中国国際輸入博覧会(CIIE)」の場で毎年発表している「世界開放度報告書2024年版」では、近年、グローバルなバリューチェーンは全体として拡大傾向を維持しており、デジタル化、グリーン経済、サービス経済の分野が世界の開放プロセスを推進していると報告されている。
「地域包括的経済連携協定(RCEP)」の質の高い実施は、域内各国に大きな発展の「配当」をもたらしている。「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)」は、一部の国の離脱により衰退したのではなく、むしろより多くの国々を惹きつけている。
アフリカ諸国は自由貿易地域建設のペースを加速しており「アフリカ大陸自由貿易圏(African Continental Free Trade Area、AfCFTA)」は昨年、南アフリカ、ガーナ、ケニアなど多くの国で実施された。
「第31回APEC財務大臣会合」では、アジア太平洋地域における多国間貿易システムへの支持と地域経済統合の促進に関する重要な合意に達した。世界的に見ても、開放的な発展を促す政治的コンセンサスと政策イニシアティブが高まりつつある。
■経済グローバル化に対する逆風や後退をどう見るべきだろうか。
確かに経済グローバル化は今のところ逆風や後退に直面している。しかし経済グローバル化の大きな流れを止めることはできない。
歴史的に見ると、2度の世界大戦は世界経済を混乱に陥れ、国際貿易ルートを遮断した。半世紀近く続いた冷戦対立は世界を2つの陣営に分け、明確な障壁を築き、経済交流と資源の流れを妨げた。しかし、長期的な歴史的観点から見ると、これらの出来事は世界が経済のグローバル化の道に回帰するのを妨げることはできなかった。経済グローバル化は、社会的生産力の発展のための客観的な要求であり、科学技術の進歩から必然的に生じるものであり、特定の誰かの意志に左右されるものではない。
現在の経済グローバル化の逆風は、一部の国の国内政治の変化で生み出されたものあり、世界的な福祉の推進に寄与する経済グローバル化の根本的な論理が変化したことを意味してはいない。
「世界貿易機関(WTO)」のデータによると、96年から21年までの期間で見て、低中所得国の経済成長が、その国のGDPに占める貿易の割合が高い国ほど速かった。これは、開放性が国家の繁栄と発展の唯一の道であることを十分に示している。
世界経済のデジタル化、グリーン化、スマート化の加速は、経済グローバル化の再加速への強力な原動力を蓄積している。WTOの予測によると、世界のデジタル方式で提供されるサービスの輸出額は23年に4兆2500億米ドル(約634兆9925億円)に達し、前年比9パーセント増となり、世界のサービス輸出額全体の54.2パーセントを占め、過去最高を更新した。
持続可能なグリーンな発展は世界的なコンセンサスとなり、23年には世界の再生可能エネルギーの新規設備容量は前年比50パーセント増となった。
「欧州外交評議会(ECFR)」のマーク・レオナルド(Mark Leonard)理事は「エネルギーと技術の変革が加速していることにより、世界は今、『脱グローバル化』の流れではなく、新しい形の『再グローバル化』の段階に入っている」と指摘している。
■経済のグローバル化がもたらした問題や課題をどのように解決すればよいか?
現在、経済のグローバル化は新たな岐路に立たされている。グローバル化を適切に導き、その恩恵を享受し、その弊害を回避することによってのみ、健全に発展し、成長を続けることができる。
WTOの「世界貿易報告書2024」は、保護主義の台頭は、世界の貧富の差を縮めるプロセスを30年遅らせる可能性があると警告している。また国連と国際通貨基金(IMF)は最近、関税の引き上げが世界経済の成長に悪影響を与えることが懸念されると警告した。
全ての国、特に主要経済国は、開放と発展という大きな方向性を堅持し、保護主義に抵抗し、開放的な世界経済体系の構築を推進しなければならない。
経済のグローバル化を阻む問題を解決するカギは、包括的で共通の利益を生むような経済グローバル化の推進だ。世界の資源配分において生じている国際間および各国の国内の発展の不均衡の問題を解決し、異なる国々、異なる階級、異なる人びとが経済・社会発展に参加し、その恩恵を享受できるようにすることによってのみ、経済グローバル化はよりダイナミックで、包括的で、持続可能な新たな段階へと進むことができる。そのためには、世界各国の政府の知恵と行動が必要である。
中国は開放を通じて、世界共通の発展の道を歩んできた。経済グローバル化への参加は、自国の発展を促進するとともに、他国にも幅広い発展の機会を提供した。中国の発展は、包括的で各国共通の利益を前提とした経済グローバル化の推進で実現し得ることを証明している。これが、中国が堅持する相互利益とウィンウィンの開放戦略だ。そしてこれが、中国が自主的な開放や単独の開放を秩序ある形で拡大し、制度型の開放を着実に拡大し、開放的な世界経済システムの構築を推進する理由である。
経済のグローバル化は、不可逆的な流れであり、人類社会が歩むべき唯一の道である。世界の国々は、この大勢を認識する知恵を持ち、それに従う決意と自信を持ち、共に努力して、包括的な経済グローバル化を推進しなければならない。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews