【4月4日 AFP】ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の新しいデータによると、一時は地球に衝突する恐れがあった小惑星「2024 YR4」が、月に衝突する確率が約4%に高まった。

一つの都市全体に甚大な被害をもたらす可能性がある「シティー・キラー」に分類される小惑星「2024 YR4」は2月、観測史上最も高い地球衝突確率3.1%を記録したが、その後、さらなる観測により、2032年12月22日に地球に衝突する可能性はないと判明した。

しかし、代わりにこの小惑星が地球の衛星である月に衝突する可能性は、着実に上昇している。

先月のウェッブ望遠鏡による観測の結果、米航空宇宙局(NASA)は3日、月に衝突する確率は現在3.8%だと発表した。

欧州宇宙機関(ESA)の惑星防衛オフィスを率いるリチャード・モイスル氏もAFPに対し、ESAの内部推定値である約4%と一致していると述べた。

ウェッブ望遠鏡の新たなデータにより、小惑星の大きさは53~67メートル、およそ15階建ての建物の高さに相当すると考えられている。これは、惑星防衛計画が発動される基準の50メートルを超えている。

モイスル氏は、もしもこの小惑星の地球衝突確率が1%以上であれば、「すでに一つ以上の軌道変更ミッションの開発が始まっていただろう」と述べた。

地球に接近する小惑星への対処法としては、核兵器やレーザーを含むさまざまなアイデアが提案されているが、これまでに実際の小惑星で実験が行われたのは、2022年のNASAによるDARTミッションだけとなっている。

この実験でNASAは、冷蔵庫サイズの無人探査機「DART」を、小惑星「ディディモス」の周りを公転する小型小惑星「ディモルフォス」に衝突させ、軌道を変更させることに成功した。(c)AFP