【3月17日 AFP】古代ギリシャやローマの彫刻がしばしば暖色で彩色されていたことは科学的に証明されているが、彫刻に香りが付けられていたことも、最近の研究で明らかになった。

デンマークのグリプトテク美術館の学芸員で考古学者のセシリー・ブロンズ氏は、同国の科学専門サイト「Videnskab」でこの研究について説明した。同氏は、キケロなどによる古代ローマ時代の著述や、古代ギリシャ神殿の碑文を詳しく研究する中で、この発見に至ったという。

「白い大理石の彫像は、単なる石像ではなく、本物の神や女神のように見えることを意図していた」

「香水や香油は、古代において宗教的な崇拝対象となる彫像の『装飾』の一部としてしばしば言及されている」

例えば、キケロは、シチリアの都市セゲスタでの儀式において、ギリシャ神話の女神アルテミスの像に軟膏や香油が塗られていたことを記している。アルテミスは狩猟、森、動物をつかさどる神として崇められていた。

また、世界遺産に指定されているギリシャ・デロス島の神殿に残る碑文には、バラの香水で磨かれた像があったことが記されている。

ブロンズ氏は、英学術誌「オックスフォード考古学ジャーナル」に発表した論文の中で、古代における彫像の鑑賞は「視覚的な体験だけでなく、嗅覚的な体験でもあった」と結論付けた。(c)AFP