【3月12日 Peopleʼs Daily】上海市閔行区(Minhang)馬橋鎮(Maqiaozhen)の「花王(中国、KAO China)」上海工場の前には、「花王路(Huawanglu)」という名称の道路がある。1990年代に工場の建設が始まった当初は砂利道だったこの道は、今では4車線の自動車道路になっている。

 花王上海工場の顧軔(Gu Ren)総経理は「この道路の変化は、過去30年余りの花王グループの精力的な発展を示しているだけなく、中国市場と花王グループとが共に発展し繁栄を勝ち取ったことを映し出している」と言う。

 彼の机の上には2枚の写真が置かれている。1枚は96年に上海工場が立ち上がった時のもので、周辺には村や畑が広がる風景の写真だ。もう1枚は最近撮影されたもので、現代的な工業園区に住宅が立ち並び、木々が生い茂る美しい景色が写っている。

「中国は超巨大市場という優位性があり、消費市場は活気に満ちている。中国市場を開拓するという我が社の決意は、これまで一度も変わったことはない」、花王グループの西口徹(Toru Nishiguchi)専務執行役員は記者に向かってこう強調した。

 近年、中国の産業構造は絶えず調整と最適化が進み、外資系企業に対して幅広い発展の機会を提供しているという。

 花王グループは93年に中国市場に進出、当初は洗顔クリームやシャンプーなどを販売していた。西口氏によれば、花王の製品は長年にわたり中国の消費者に愛され、今では家庭用品、化粧品、工業用化学品など様々な事業分野に跨る総合グループへと発展している。

 長年中国で働いてきた同氏は「中国は対外開放政策を高度に継続的に拡大している。中国市場はいつも回復力と活力に満ちあふれている。活き活きと発展する中国の日用品消費市場を背景に、花王グループの中国事業は急速に成長している」と述べている。

 中国国家統計局のデータによると、23年の中国の化粧品小売売上高は4142億元(約8兆6070億円)に達し、06年の10倍以上となった。関係者の話によると、花王(中国)は06年に中国で化粧品事業を始めてから急速に発展し、23年には売上高が10倍以上になった。

 西口氏は感慨を込めて「我々は常に中国市場とともに発展し、大きくなってきた」と話す。

 彼はインタビューの中で、昨年2月に発売したある製品について繰り返し言及した。その製品は、中国の研究開発チームが中核となって開発したもので、研究開発から試験、生産、販売まで、全て中国で行われたものだった。研究開発段階では中国の消費者の個別のニーズが取り入れられた。

 西口氏によると、この製品が中国市場で成功した理由は、中国の消費者が現在追い求めている「より良い生活」を実現したことにあり、この製品の成功は、花王グループの中国事業の「現地化戦略」の正しさを証明するものだという。

「中国経済の持続的な発展に伴い、消費者はより良い生活を求めるようになり、そのニーズは、さらに個別化、多様化、高品質化している。消費市場における新たなトレンドは、花王の中国の事業拡大にとって新たなチャンスをもたらすものだ」、西口氏はこう強調する。

 また「現在、日本国外の事業が花王グループの総売上額の約45パーセントを占めている。その中で常に中国市場は最も重要な海外市場で、アジア市場における花王の発展と成長に重要な貢献をしてきた」と話している。
 
 花王の上海工場から車でわずか15分の距離にある「馬橋人工知能イノベーション試験区」がある。ここは上海における人工知能と都市発展が深く融合する実践基地の一つだ。

 5年あまり前に設立されて以来、インテリジェントロボット関連のハイテク企業を多数誘致してきた。

 花王上海工場は昨年8月に、試験区の企業が開発した産業用ロボットを導入した。

 顧総経理は記者団に対し「花王(中国)の生産ラインは徐々に自動化、デジタル化、無人化へと移行しているが、これは中国のインテリジェント製造業の支援と切り離せないものです」と話した。近年、花王(中国)は毎年数千万元(数億~十数億円)を投じて生産ラインのインテリジェント化改造を行い、技術設備の現地化率を絶えず高めてきたという。

 現在、中国は新しい質の生産力の育成を加速し、質の高い発展を着実に推進している。

 西口氏は、中国の新しい生産力の育成はイノベーションの活力をさらに刺激し、生産効率を向上させるのに役立つと考えている。

 中国市場はその発展過程において、新たな形式と新たな軌道を絶えず生み出している。

 花王は、優位性のある分野の開拓に一層力を注ぎ、新技術と新製品を絶えず開発し、中国事業の発展を引き続き推進していくと言っている。(c)PeopleʼsDaily/AFPBBNews