【3月3日 東方新報】盗用配信が頻発する中、偽ライブコマースをどう根絶するかが問題になっている。専門家は、プラットフォーム、著作権者、監督機関が連携して技術と法的防御を強化する必要があると指摘している。

「他のアカウントで私のライブ配信を見たとファンから連絡があり、盗用されていることに気づいた」と語るのは、女性向けアパレルショップの店主・阿丘(A Qiu)さんだ。最近、彼女は自身のライブ配信が「盗用配信」されていることを発見した。

 盗用配信とは、他人のライブ配信を無断で盗用し、商品販売に利用する違法行為を指す。これは市場秩序を乱す行為で、低画質や画面の反転などの技術を使ってプラットフォームの審査を回避する。配信者は視聴者と直接やりとりせず、コメント欄で架空の注文を装うことで信頼性を偽装する。調査によると、盗用配信の領域では偽ブランド品や粗悪品が横行しており、消費者は虚偽広告や品質不良のリスクにさらされ、業界全体の公正な競争を損なっている。

 北京市隆安(重慶)法律事務所の弁護士・喩雪(Yu Xue)氏は「盗用配信から偽ブランド販売まで、グレーな産業チェーンが形成されており、商家と消費者の正当な権利を深刻に侵害している」と指摘する。盗用行為は著作権や肖像権などの民事権利を侵害しており、盗用ビジネスを組織することは著作権侵害罪や情報ネットワーク犯罪活動の幇助罪に該当する可能性があるという。

 あるプラットフォームの担当者は「盗用や録画を利用したライブコマースに対しては厳しく対処している。偽アカウント情報の削除や盗用コンテンツの削除、ショッピングカート機能の停止、アカウントの永久凍結などの措置を講じている」と語った。

 しかし、盗用配信は依然として後を絶たない。調査によると、その背景には盗用者の違法行為のコストが低く、被害者の法的対応コストが高いという二つの問題がある。

「素材と音声をうまく加工すれば、プラットフォームには検出されない」と話すのは、あるECトレーニング機関の責任者だ。盗用はすでに産業チェーンとして確立されており、専門のサービスを提供する機関が存在する。AI録画、画面の反転、ピクチャー・イン・ピクチャー、AI顔変更などの手法を駆使して、プラットフォームの監視を回避しているという。盗用者は複数のアカウントを使い回し、アカウントが停止されてもすぐに新しいアカウントを作成して活動を続けている。

 被害者側も法的措置を取ることは難しい。盗用被害者が訴訟を起こす場合、時間と労力のコストが高く、裁判所の賠償額も限られている。そのため、多くの配信者は盗用を受けても泣き寝入りするケースが多い。

 専門家は、盗用配信の根本的な原因に対処するためには、プラットフォーム、著作権者、監督機関が協力して、技術と法律の二重の防御システムを構築する必要があると強調している。

 多くの業界関係者は、プラットフォーム側が技術対策の強化や著作権保護のエコシステムの最適化を進めるべきだと提言している。AIを用いたリアルタイムの監視と遮断、デジタル透かしやブロックチェーン証明、ストリーミングの暗号化技術を採用することで、盗用配信の検出能力を高めることが求められている。また、プラットフォームが著作権者と協力して「正規コンテンツライブラリ」を構築し、API(アプリケーションプログラミングインターフェース)を公開することで、著作権者がワンクリックで著作権侵害を報告できる仕組みを提供することも考えられる。

 監督面では、市場監督当局がプラットフォームとの連携を強化し、ライブ配信プラットフォームの巡回監視を強化する必要がある。また、より効率的な苦情受付と通報制度を構築し、著作権者や消費者が迅速に対処できるようにすることが求められている。

 さらに、法的措置の実効性を高めるために、行政処罰の適用基準を細分化し、盗用者のブラックリストデータベースの構築や特別取り締まり活動を実施することで、盗用配信のコストを引き上げ、効果的に取り締まることができると専門家は提案している。(c)東方新報/AFPBB News