何年も盛り上がり続ける中国の「村BA」素人スポーツ大会の魅力とは
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【2月28日 CNS】中国・貴州省(Guizhou)の村民によって開催されているローカルなサッカーリーグが、開催以来、国内外で圧倒的な人気を集め、全ネットプラットフォームでの総閲覧回数は950億回に達している。日本の共同通信社(Kyodo News)をはじめとする海外メディアも報じるほどの注目ぶりだ。現在までに、中国各地から1300チーム以上、さらにフランス、アルゼンチン、ブラジルなど50か国以上から1160人の国際プレイヤーが、それぞれの料理や文化を携えてこの村へ集まり、サッカーを通じて交流を深めている。これは米プロバスケットボール(NBA)ではなく「村BA」だ。なぜ中国の田舎の素人スポーツ大会がここまで人気を博しているのか?
清華大学(Tsinghua University)国家イメージ伝播研究センターの主任である范紅(Fan Hong)氏は、中国の村で開催されるスポーツ大会の魅力は、単なるサッカーの試合にとどまらず、スポーツ、文化、田舎の生活が密接に結びついたユニークな体験を生み出している点にあると説明する。試合には民俗文化が巧妙に組み込まれており、民族舞踊や伝統料理の試食が試合ごとに欠かせない要素となっている。この独特な融合が、村のスポーツに活気と価値をもたらし、観客に新たな感動を与えている。
中国の村レベルのスポーツ大会は、異文化交流の場としても機能している。外国チームや観客が試合に参加または観戦する際には、地元の歌や踊り、伝統衣装といった中国文化に触れることができる。同時に、彼らも自国の歌や料理を持ち込み、現場の文化的な豊かさをさらに高めている。また、「村BA」には大規模なイベントによく見られる距離感や過度な商業化がなく、素朴で純粋な雰囲気が観客に共感を呼び起こし、イベントと一般大衆の距離をぐっと縮めている。
さらに、村レベルの大会はその開催方式において他国でも模倣可能なモデルとなっている。アフリカのベナン共和国などでは「村BA」の開催方式を参考にしており、民間レベルでの文化交流における優位性が示されている。
中国の村レベルのスポーツ大会は、国家イメージの構築にも貢献している。一方では、村の大会を通じて中国の農村地域の経済状況や住民の活気が鮮明に表現され、観客は中国の田舎の発展に対する新たな認識を得ることができる。もう一方では、村レベルの大会が中国文化の多様な側面を豊かに表現しているため、中国という国家のイメージが単なる大国という印象にとどまらず、草の根レベルで生活に根ざした姿としても伝わっている。
もちろん、全国各地や海外から訪れる観戦客や選手たちが村に押し寄せることで、地元の受け入れ体制には課題も生じている。
今後、これらのスポーツイベントを開催する村々は、交通、宿泊、飲食といった基盤施設の整備を進め、観光客の受け入れ能力やサービスの質を向上させる必要がある。また、イベントに関連する特産品や記念品の開発を進め、文化イベントを成熟した観光プロジェクトに発展させることが可能だ。これにより、大会のアップグレードを促進し、持続可能な運営を維持できるだけでなく、中国地方経済の活性化にも安定した貢献が期待されている。(c)CNS/JCM/AFPBB News