【2月27日 AFP】西暦79年に起きたベスビオ山の噴火によって消滅したイタリア・ポンペイ遺跡で、酒の神「ディオニュソス」などの儀式を描いた極めて珍しい連作のフレスコ画がこの数週間で発見されたとする調査結果が26日、公表された。

大きな宴会場として使用されていた部屋の壁の3面には、ディオニュソスの行列の様子がほぼ等身大で描かれている。

こうした壁画は、ギリシャ語で「大型絵画」を意味する「メガログラフィア」とも呼ばれ、巫女(みこ)の「バッカンテ」らが狩りで捕らえた動物を肩にのせ、踊りながら行進する様子や、酒の神に従う半人半獣の「サテュロス」が笛を吹き、曲芸のような格好でワインを注いでいるところが描かれている。

「第2様式」と呼ばれるこうしたポンペイ壁画は、紀元前40年から30年ごろのもの。ベスビオ山の噴火で街が消滅した時点で、100年以上たっていたとみられている。

ポンペイ遺跡の説明によれば、壁画の中央にいる女性は「死後に復活し、巫女にも同じ運命を約束するディオニュソスの秘儀を受けようとしている」ところで、カルト教団の入会儀式では「現世と来世での新たな至福の生活」が約束されていたという。

アレッサンドロ・ジュリ文化相は「非常に貴重な史料だ」とし、ポンペイは「あまり知られていない古代の地中海地域の生活を驚くほど明らかにしてくれる」と述べている。(c)AFP