【2月21日 AFP】米疾病対策センター(CDC)は20日に公表した週次報告書で、鳥インフルエンザが人を介して飼い猫に感染する恐れがあると発表した。報告書で紹介された2例では、いずれの猫もウイルスに感染し、死んでいる。

CDCは「週間疾病率死亡率報告」で、2024年5月にミシガン州で確認された二つの症例を報告した。どちらの事例も、牛への感染が確認された酪農場またはそのすぐ近くで飼い主が働いていた。飼い猫は鳥インフルエンザに感染して死んでいる。

一つ目の症例は、室内飼いの5歳の雌猫で、食欲不振、グルーミングの減少、方向感覚の喪失、無気力、神経衰弱などの症状を呈した。

猫の状態は急速に悪化し、ミシガン州立大学獣医臨床センターで緊急治療を受けた。だが、病状は進行し、数日内に安楽死の処置が施された。死後の検査で鳥インフルエンザに感染していたことが確認された。

この家では、他に2匹の猫を飼育していた。うち1匹が軽度の症状を呈していたが、飼い主はアレルギーによるものだと判断し、公衆衛生当局に報告しなかった。

この家族のうち、農場で働いていた人物は鳥インフルエンザ検査を拒否。一方、成人1人と未成年者2人は検査を受け、陰性だった。

■生乳(未殺菌乳)との関係

二つ目の症例は、その数日後に同大学に運び込まれた生後6歳のメインクーンで、食欲不振や無気力、顔の腫れ、活動の低下などの症状がみられ、24時間の内に死んだ。

この家では、猫がもう1匹飼われていたが、こちらの猫は感染しなかった。

飼い主は、ミシガン州の複数の酪農家から生乳を運搬する仕事を定期的に行っていた。取引先の中には、鳥インフルエンザに感染した牛が確認された酪農家も含まれていた。

飼い主の報告によれば、生乳の取扱時に防護服を着用することはなかったとされ、しばしば顔や目、衣服に生乳が飛び散ることもあった。また作業着のまま家に入ることもあったという。

注目すべきは、感染した猫は飼い主の汚染された作業着の中に頻繁に潜り込んでいたが、感染しなかった猫はそうした行動を取らなかった点だ。

飼い主は猫が感染する前に目の炎症を自覚していたとされるが、検査は受けていなかった。

CDCの研究者は、農場労働者に対し、家庭に入る前に衣服や履物を脱ぎ、動物由来の汚れ(乳や排せつ物を含む)を洗い流すよう推奨している。

なお、これら2件の症例が報告されて以降、鳥インフルエンザウイルスに汚染されたペットフードを介した猫の感染や、保護施設内の「大型ネコ科動物」間でのウイルス流行の可能性が明らかになっている。(c)AFP