「シティー・キラー」小惑星、地球衝突確率3.2%に NASA
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■3月にジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡で観測
モイスル氏は「これは非常にまれな事象だ」とした上で、「現時点では危機とは言えない。これはダイナソー(恐竜)・キラーでもプラネット(惑星)・キラーでもない。被害が及ぶとしても、最大で都市一つの範囲にとどまる」と指摘した。
惑星協会のベッツ氏によれば、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の観測データが、「2024 YR4」の軌道をより深く理解する鍵となる。
「ウェッブは非常に暗い天体も観測することができる」と同氏は述べた。「2024 YR4」は現在、木星に向かっており、次に地球へ接近するのは2028年となるため、ウェッブの能力が重要になるという。
モイスル氏によると、衝突確率が10%を超えた場合、IAWNは正式な警告を発し、潜在的な脅威にさらされる国連加盟国に対し、防衛対策に着手するよう勧告する。
6600万年前に恐竜を絶滅させた直径10キロの小惑星とは異なり、「2024 YR4」は「シティー・キラー」に分類されている。地球規模の大惨事を引き起こすことはないが、それでも大きな破壊をもたらす可能性がある。
壊滅的な被害をもたらす要因は、その大きさではなく、衝突時に時速約6万4000キロに達すると想定される速度だ。
地球の大気圏に突入した場合、最も可能性が高いシナリオは空中爆発である。その爆発力はTNT火薬換算で8メガトン、広島型原爆の500倍以上に相当する。
しかし、もし「2024 YR4」のサイズが推定値の上限に近い場合、地表に衝突し、クレーターが形成される可能性も否定できないとベッツ氏は指摘する。
衝突の可能性がある地域は、東太平洋、南米北部、大西洋、アフリカ、アラビア半島、南アジアとされる。しかし、モイスル氏は移住などの抜本的な措置を検討するのは時期尚早だと述べた。
対策を講じるための時間は十分にある。
NASAが2022年に実施した「ダート(DART)」ミッションでは、宇宙船を小惑星に衝突させることでその軌道を変えられることが実証された。
また、科学者らは、レーザーを使って小惑星の表面の一部を蒸発させて推進力を生み出す方法や、宇宙船の重力を利用して軌道を変える方法、さらには最後の手段として核爆発を用いる方法など、複数の対策を理論的に提示している。(c)AFP