【2月12日 AFP】国連は11日、イスラエルの激しい攻撃により瓦礫と化したパレスチナ自治区ガザを復興し、「人道的惨事」を終わらせるには約530億ドル(約8兆1000億円)以上の資金が必要だとする報告書を公表した。

1月30日付の報告書は、ガザの復興に着手し、イスラエルの占領を早急に終わらせて「実現可能な二国家解決」を導くには「政治・安全保障面での枠組み」を整備する必要があるとも指摘している。

報告書は、ガザ全域の短・中・長期の復興に必要な資金を総額531億4200万ドルと試算。そのうち当初3年間の短期の必要額は205億6800万ドルと見積もっている。

1年以上に及ぶイスラエルとイスラム組織ハマスの戦闘により、「住宅の60%以上」が破壊されたとし、住宅部門には約152億ドルが必要と推計。

商業・産業部門と医療部門にはそれぞれ69億ドルが必要と試算。農業部門の復興に42億ドル、交通部門に29億ドル、水・衛生分野に27億ドル、教育には26億ドルが必要と想定している。

報告書はまた、大量の瓦礫の撤去費用がかさむため、環境部門にも19億ドルが必要としている。国連は、ガザには5000万トン以上の瓦礫があり、その中には人間の遺体や不発弾、アスベストなど有害物質が含まれているとみている。

アントニオ・グテレス事務総長は報告書の中で、今回の報告は「暫定評価」であり、まだ完全なものではないと警告。また、「重要なのは、パレスチナ自治政府がガザ復旧・復興の立案・実施の中心にいるということだ」と強調した。(c)AFP