冬の氷雪ブーム 中国各地で「雪」熱高まる
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【1月22日 CNS】真冬を迎えた中国北部はすでに銀世界に包まれている。学生の冬休みや春節(旧正月、Luner New Year、今年は1月29日から)が近づく中、スケート、スキー、氷上そりなどの氷雪レジャーがますます人気を集めている。
「氷の街」として知られる黒龍江省(Heilongjiang)ハルビン市(Harbin)は現在、中国で最も注目される観光都市だ。中国東北部に位置するハルビンでは、1985年から毎年「中国・ハルビン国際氷雪祭」が開催されている。この祭りは、中国初の氷雪をテーマにした国際的なイベントであり、さっぽろ雪まつり(Sapporo Snow Festival)、ケベック・ウインター・カーニバル(Quebec Winter Carnival)、ノルウェーのオスロスキー祭りと並び、世界の四大冬季イベントの一つとされている。
今年の氷雪祭の開幕地である「ハルビン氷雪大世界」は敷地面積が100万平方メートルに及ぶ世界最大の氷雪テーマパークだ。園内には、雪の迷路、氷上自転車、雪の観覧車などさまざまな氷雪アトラクションがあり、特に全長521メートルの「スーパーアイススライダー」はアイススライダー界の「頂点」と称される。来園者は専用そりに乗り、7階建ての高さから滑り降りることができ、約1分で「氷上のスピードとスリル」を体験できるため、歓声が絶えないスポットとなっている。
さらに、園内には氷雪温泉キャンプ場や直径16.8メートルの巨大火鍋も設置されており、氷点下20~30度の環境で「寒暖差を楽しむ」体験が可能だ。国際的な建築物の氷彫刻や多くの氷雪アトラクションに惹かれ、今年の氷雪大世界は開園からわずか20日間で103万人以上の来場者を記録している。
東北地方と同じ「氷雪黄金緯度帯」に位置する新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)も、中国の氷雪スポーツが盛んな地域だ。
中国西部に位置する新疆は、東部地域に比べ人口密度が低く地形が多様で、より技術を要するスキーに適している。北部のアルタイ山脈(Altai Mountains)、中部の天山山脈(Tianshan Mountains)、南部の崑崙山脈(Kunlun Mountains)などは、質の高いスキー場を開発するのに理想的な条件を備えている。現在、新疆には100以上のスキー場があり、国際スキー連盟(FIS)ポイントシリーズ、FWT世界バックカントリーツアー、アルタイ山冬季スポーツ大会など、多くの国際スキー大会が開催されてきた。
アルタイ山脈の南西麓に位置するアルタイ地区は北海道と同緯度にあり、粉雪で有名な北海道と同様、「粉雪の楽園」として知られている。細かく柔らかい雪質はまるで小麦粉のようで、転んでも痛みを感じにくいためスキー愛好者から高い支持を得ている。アルタイは「中国の雪都」と称され、積雪期間は133.6日にも及ぶ。冬の積雪深は30センチを超え、中国国内で最も長期間雪が残る地域となっている。
2023~2024年の雪季には、アルタイ地区が受け入れたスキー観光客は100万人を超えた。2024年夏に放送されたテレビドラマ『私のアラタイ』が話題となり、アルタイの美しい景観が広く知られるようになったことで、当地の氷雪観光の人気がさらに高まった。2024年12月以降、アルタイにある4つの大型スキー場は1日平均約1.5万人の観光客を迎え、前年比20パーセントの増加を記録している。
東北・西北地方のように明確な氷雪資源を持つ地域だけでなく、冬の平均気温が20度近くに達する広東省(Guangdong)でも「氷雪経済」の熱が広がっている。
広州白雲空港(Guangzhou Baiyun International Airport)から10キロ未満の商業施設には、華南地方最大の室内スキー場が設置されている。敷地面積7.5万平方メートルのこのスキー場には、4本の異なるレベルのスロープと、多くの氷雪アトラクションが備わっている。世界最速で来場者100万人を突破した室内スキー場の一つである。しかし、この「華南最大」の称号は間もなく他の施設に引き継がれる見込みだ。隣接する深セン市(Shenzhen)では、敷地面積約43万平方メートルの世界最大級の室内スキー場を建設中であり、2025年末までに開業予定とされている。
氷雪経済の盛り上がりに伴い、氷雪装備の製造業も急成長している。中国には約9.3万社の氷雪装備関連企業があり、そのうち広東省が約2.3万社と全国トップを占める。雪がほとんど降らない広州市(Guangzhou)では、滑雪用ゴーグルを製造するメーカーが注目を集めており、ある企業の昨年の売上高は1億元(約21億3125万円)を超えたという。
現在、中国の「氷雪熱」は南北を問わず広がっている。北京冬季五輪で掲げられた「3億人を氷雪スポーツに参加させる」という目標はすでに達成され、さらに5億人を巻き込む約6000億元(約12兆7875億円)規模の氷雪観光市場が形成されている。氷雪観光は中国の人びとの新たなライフスタイルとして定着しつつある。(c)CNS/JCM/AFPBB News