中国のへび年記念切手-切手愛好家にとって特別な新年の象徴
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【1月15日 CNS】新年を迎える際に郵便局で切手に消印を押してもらうのは、多くの中国の切手収集愛好家にとって重要な儀式となっている。2025年は中国の十二支の中で「へび年(乙巳<きのとみ>年)」にあたり、中国郵政は記念切手「乙巳年」を発行し、多くの愛好家が行列を作って購入に訪れた。
「毎年1月5日の朝8時から店頭販売が始まるが、1時間ほどで売り切れる」と、北京市西城区にある地安門郵便局のスタッフは語った。この郵便局は北京の観光名所である鼓楼の近くに位置しており、今年の蛇年切手の販売初日は大勢の人びとで賑わった。
中国国家郵政局は1980年に初めて十二支切手を発行し、現在では第4シリーズ目に入っている。今年発行されたへび年記念切手には2種類のデザインが含まれており、それぞれ「蛇呈豊稔」と「福納百祥」と名付けられている。いずれも額面は1.2元(約25円)となっている。
「蛇呈豊稔」の切手には、麦の穂をくわえたへびが描かれ、へびの体には敦煌(Dunhuang)壁画を思わせるカラフルな文様が施されている。このデザインは、陶寺文化の「龍盤」からインスピレーションを受けたもので、龍に似た角のある頭部と爪のない形状がへびに似ている。また、麦の穂が拡大されて「嘉禾(豊かな収穫)」の象徴として表現され、「豊かで満ち足りた生活」を象徴している。
一方、「福納百祥」の切手は、3匹のへびが動きながら漢字の「福」を形作っている。このデザインを手掛けた潘虎(Pan Hu)氏は、「へびは最良のデザインモチーフであり、成語『筆走龍蛇』にあるように、文字と形を融合させることが非常に面白い」と説明した。また、この切手には敦煌文化の要素も取り入れられており、伝統と現代の調和が感じられる。
北京市内の複数の郵便局では、「乙巳年」記念切手の在庫が少なくなっており、一部の郵便局では8枚セットの専用切手フォルダーが販売されている。これにはカラフルな蛇の粘土細工が付属しており、価格は68元(約1463円)となっている。ほかにも伝統文化を取り入れた切手アルバムがあり、価格は数百元(100元は約2152円)に達する。
香港郵政とマカオ郵政も今年、へび年記念切手を発行している。1月5日には、中国郵政、香港郵政、マカオ郵電が共同で制作した蛇年記念切手の特別版が発売された。これは中国内地の価格で52元(約1119円)で販売されており、各地で話題となっている。
あるネットユーザー「猫Home」さんは、自身の本命年である今年、このへび年記念切手を手に入れることを目標にしていた。彼女は「2025年から毎年セットを集めて、年を取ったときにゆっくり眺めたい」とSNSで語っている。
現在、十二支切手の種類はますます豊富になり、収集家たちも新しい発想を持ち込んでいる。切手の初日カバーや記念封筒、記念スタンプも人気を集めており、収集家たちは複数の郵便局を回り、記念スタンプを押してもらう活動を楽しんでいる。
ネットユーザー「阿浩(A Hao)」さんは、蛇年記念スタンプを集めるために早朝6時半から並び、北京の牛街やテーマ郵便局を訪れ、合計7種類の蛇年文化スタンプを集めたという。
さらに、国際連合郵政部(UNPA)も1月17日にへび年のテーマに特化した記念切手を発行予定で、小版シート形式で10枚の切手と10枚の国連の公式エンブレムが描かれたデザインをセットにする予定だ。デザインを担当した潘虎氏は、「切手は時代の記録として、芸術や歴史を表現する最良の媒体だ」と述べている。(c)CNS/JCM/AFPBB News