米国初の鳥インフル重症患者から変異ウイルス CDC
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【12月28日 AFP】米疾病対策センター(CDC)は26日、高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)に感染し、重症だと今月発表された南部ルイジアナ州在住の高齢者から、ヒトの気道に適応するよう変異したウイルスが見つかったと発表した。ただし、この患者から他の人へのウイルスの伝播(でんぱ)は確認されていないという。
CDCによると、患者の喉から検出されたウイルスの一部に、ヒトの上気道の特定の細胞受容体(レセプター)で「ウイルス結合の増加」を引き起こしかねない遺伝子変化が認められた。
こうした変化は、この患者の感染源とみられる家禽(かきん)を含め、鳥類では確認されなかったことから、CDCは「症状が進行したこの患者でウイルスが複製・生成された可能性が高い」と指摘。一方で、変異ウイルスが他の人に伝播した事例は確認できていないとしている。
AFPが取材した専門家は、こうした変異によりウイルスが容易に拡散され、ヒトの症状が重篤化するかどうかを判断するには時期尚早だと主張。
カナダ・サスカチワン大学のウイルス学者、アンジェラ・ラスムッセン氏は、さらなる動物実験を通じて検証する必要があるとし、過去に重症患者で同様の変異が見られたが、ヒトからヒトへの感染拡大は発生しなかったと説明。
「警戒すべき問題だと把握しておくのはいい」が「今にもパンデミック(世界的な大流行)が起こるというわけではない」と述べた。(c)AFP