【11月26日 AFP】ドイツのアンゲラ・メルケル前首相の回顧録が26日、30言語で出版された。「自由 回顧録1954 – 2021」と題された同書でメルケル氏は、欧州最大の経済大国を16年間にわたって率いた際の自身の政策を力強く正当化している。

2021年の退任以降、メルケル氏はロシアに対する宥和的な政策の結果、ドイツを安価なロシア産天然ガスに過度に依存させたと批判されてきた。加えて移民の受け入れ政策が社会不安と極右の台頭を招いたとして非難されてきた。

ここ数年は公の場から遠ざかっていたが、複数メディアのインタビューで、共産主義体制下の東ドイツで過ごした幼少期や、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、米国のドナルド・トランプ前大統領との緊迫したやりとりについて振り返っていた。次期米大統領として復権するトランプ氏については「独裁主義的な政治家に魅了されている」ようだったとの見方を示している。

■難民危機

回顧録では、2015年に難民が大量流入した際の自身の考えや行動についても詳細をつづっている。

メルケル氏を批判する人々は、オーストリア国境で大量の難民受け入れを認めた政策が、100万人を超える難民流入と、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の台頭を招いたと非難している。

だが、メルケル氏は「欧州は常に外部境界を守らなければならない」としつつ、「繁栄と法の支配という側面から、ドイツと欧州は常に人々が目指したがる場所となる」と強調。さらに、急速に高齢化が進むドイツでは「労働力が不足し、合法的な移民が不可欠」だと主張している。