【11月21日 AFP】新型コロナウイルスと最前線で闘う医療従事者らのために寄付を募り、自宅の庭を歩行器を使って100回歩く挑戦で世界的に有名になった英国の退役軍人トム・ムーアさん。しかし監視団体は20日、ムーアさんの名前を冠して設立された慈善団体を利用して娘夫婦が「多大な」金銭的利益を得ていたことを指摘した。

ムーアさんは新型コロナによるロックダウン中の2020年に、自らの100歳の誕生日を前に歩行器を使って庭を100往復するという挑戦を達成し、約3300万ポンド(約65億円)の募金を集めた。

しかし、監視団体が発表した30ページの報告書では、娘のハンナ・イングラム・ムーアさんと夫のコリンさんが、父親の回顧録の印税から、あたかも慈善団体に多額の寄付を行っていると誤解させるような行為を繰り返していたと指摘された。

報告書によると、娘夫妻が取締役を務める会社に対しては著書3冊の契約で約140万ポンド(約2億7000万円)の前金が支払われたが、慈善団体への寄付は行われていなかった。

2021年に死去したムーアさん自身は生前、挑戦で募った募金を英国の医療慈善団体に寄付している。

報告書の内容について娘夫妻の家族は、その結論を否定し「不当かつ不公平」な扱いを受けたと反論。「私たちはキャプテン・サー・トムの遺産を守ることに専念しており、資金の不正流用は一切なかった」としている。

調査結果について監視団体は「私的な利益と慈善的な利益の境界が曖昧になっていた」ことが判明したと指摘。結果的に夫妻は「多大な個人的利益を得た」とし、「不正行為・管理不行き届き」に相当するとした。(c)AFP