【11月8日 AFP】イスラエル国会は7日、テロ攻撃の罪に問われた者の親族を国外追放することを可能にする法案を可決した。紛争で荒廃したパレスチナ自治区ガザ地区に送り込むものとみられており、少数派であるアラブ系の人権活動家らは懸念を示している。

同法によれば、内相はテロ攻撃の罪に問われた者の親子やきょうだいについて、「テロ攻撃の実施計画を事前に知っていたにもかかわらず、阻止するために可能な限りの手を尽くさなかった場合」、最長20年間、国外追放することができる。

同法は、極右政治家が、イスラエルのパレスチナ系住民や併合した東エルサレムの住民によるイスラエル人に対する攻撃を抑止するものだと主張し、長年にわたり推進してきたもの。

イスラエルの少数派アラブ系の人権擁護団体「アダラー」は同法について、「テロ対策を装ったイスラエルの立法によるパレスチナ人の権利弾圧の危険なエスカレーション」だと非難。「家族全員の国外追放を認めるこうした措置によって、パレスチナ人を集団的に処罰することが可能になる」と指摘している。

アルモグ・コーヘン議員が提出した法案には追放先が明記されていないが、同議員の広報担当者はAFPに対し、ガザになるだろうと語った。同地では、イスラエルがイスラム組織ハマスとの戦闘を続けている。

テロ攻撃への支持を表明したり、実行グループや背後にいるグループを称賛、奨励したりした家族の国外追放も可能になる。

同法は追放期間について、イスラエル国民は7~15年、東エルサレムで暮らすパレスチナ人のような永住者または一時滞在者は10~20年としている。

イタマル・ベングビール国家治安相は同法を「テロとの戦いにおける決定的に重要な柱」と称賛。「犯罪者の家族」に「明確なメッセージ」を送るものだと続けた。

ベングビール氏は「イスラエル国民に危害を加えた家族に共鳴したり、支援したりした父親、母親、息子、娘、兄弟、姉妹、配偶者は全員、きょうから国外追放される」と述べた。

アダラーの法務責任者スハド・ビシャラ氏は、イスラエル最高裁に対して同法の違憲訴訟を起こすか、事件ごとに個別に対応する方針を表明。「この法律には非常に問題がある」と述べた。(c)AFP