【11月7日 CNS】2024年は、中国が日本にトキの「友友(ヨウヨウ、You You)」と「洋洋(ヤンヤン、Yang Yang)」を贈ってから25周年、そして中国舞踊劇『朱鷺』の初演から10周年を迎える年だ。トキは「東洋の宝石」と称され、中日友好の象徴となっている。最近、舞劇『朱鷺』の制作に携わった一人である、上海大学(Shanghai University)海派文化研究センター主任の陳東(Chen Dong)氏が、この作品の創作のきっかけや深い意味について語った。

 陳東氏によると、舞踊劇『朱鷺』の着想は、2010年の上海万博で日本館が展示した中日協力によるトキの保護の物語に由来する。

 トキはもともと東アジアに広く生息していたが、生息地の破壊や人間活動の影響で急激に数が減少した。1980年代半ばには、日本でトキがほぼ絶滅し、最後の野生のトキが死んだ後、この貴重な種は中国の陝西省(Shaanxi)にわずかに残るのみとなった。1999年、中国は友好の証として日本にトキのペア「友友」と「洋洋」を贈り、中日友好協力の始まりを象徴した。その後も中国はトキを日本に贈り続け、トキは中日間の友情の橋渡し役となった。絶滅の危機に瀕していた美しい生き物が、中日共同の保護のもとで蘇ったのである。

 このトキの物語が、当時の上海歌舞団団長である陳飛華(Chen Feihua)氏や創作スタッフにインスピレーションを与えた。2014年、舞踊劇『朱鷺』が初演され、環境保護をテーマに、トキの美しさとその脆さを舞台上で表現した。舞劇は、悪化する環境の中で必死に生きようとするトキが人間に守られる物語を描き、切ない感情で観客の心を打つ。舞踊の振り付けには工夫が凝らされ、トキの「歩く」「棲む」「飛ぶ」といった姿が繊細に再現されている。俳優たちは体の動きで朱鷺の生息や飛翔の姿を表現し、自然との共生を訴えかけた。

 この10年間で、『朱鷺』は国内外で300回以上の公演を行い、ニューヨークのリンカーン・センター(Lincoln Center for the Performing Arts)に登場し、日本でも3度巡演を行った。2014年に舞劇『朱鷺』が日本に初上陸した際、陳東氏によると、多くの日本人観客が感動の涙を流し、長い間席を立たなかったという。当時の日本の首相であった安倍晋三(Shinzo Abe)氏も夫人と共に観劇し、高い評価を与えた。また、日本の学生がこの公演を観て、生物学を学びたいと考えるようになったというエピソードもある。

 舞劇『朱鷺』の日本巡演は、成功した民間外交と言える。芸術を通じて、より多くの日本人に中日両国が環境保護に取り組んでいる姿勢を伝えることができた。この舞劇は、言語の壁を超え、体の動きと音楽でコミュニケーションを図り、環境保護の理念を日本の観客に伝えた。

 朱鷺はまた、中日韓の環境保護協力の象徴にもなっている。2018年以降、中日韓の3か国は「トキ国際フォーラム」や文化展などの活動を共同で開催している。トキは、エコロジー保護の象徴であるだけでなく、国際協力の象徴でもあるのだ。今後も、舞踊劇『朱鷺』は国際舞台で中日友好と環境保護の理念を伝え、芸術を通じて人びとに生物多様性への関心を促していく予定だ。(c)CNS/JCM/AFPBB News